アジアの虎、アフリカの獅子 AA会議60周年 記念式典

 1955年にアジア・アフリカ会議(AA会議)が西ジャワ州バンドン市で開催されてから今年で60周年を迎えることを記念し、24日、同市ムルデカ(独立)会館で式典が開かれた。ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領や中国の習近平国家主席、マレーシアのナジブ・ラザク首相ら各国首脳が市内を行進して先人の足跡をたどった。

 記念式典を前に、首脳は市内中心部のホテル・サボイ・ホマンからムルデカ会館までアジア・アフリカ通りの約200メートルを行進した。この道のりは60年前にAA会議を主導したスカルノ大統領やインドのネルー首相、中国の周恩来首相らも歩んでいる。厳重な警備体制が敷かれたため、当時の映像にあるような、沿道で熱狂的に歓声を上げる市民の姿は見られなかった。それでも首脳らは一歩一歩、感慨深げに歩んでいた。
 式典はAA会議当時そのままのムルデカ会館で行われた。館内の椅子も当時のものだという。会館はオランダ植民地時代にオランダ人エリート層の社交場としてにぎわい、日本軍政下では「大東亜会館」と名前を変えた歴史を持つ。
 会館に各国首脳を迎え入れたのはバンドン市のリドワン・カミル市長だ。「アジアの虎、アフリカの獅子を歓迎する」と述べ、AA会議で採択された「バンドン十原則」を読み上げた。
 式典ではアンクルンの演奏に合わせて地元パジャジャラン大学合唱部が46年の「火の海事件」を題材とする「ハロ・ハロ・バンドン」を披露した。独立戦争でバンドンの再占領を狙った英蘭軍にインドネシアが同地の焦土作戦で抵抗した逸話を歌っている。行進と合わせ、民族自決の決意を新たにしようという趣向だ。
 ジョコウィ大統領は閉幕のあいさつで、AA会議に参加した29カ国のうちアフリカから参加したのはわずか3カ国だったと振り返った。当時、スーダンは独立を果たしておらず、国旗の代わりに白旗に国名を書き込んで参加したという。
 60年を経て世界情勢は様変わりし、両地域の各国の関心も独立から発展に移った。しかし、大統領は「インドネシアも貧困から解放されたとはいえない」として改めてAA会議の「バンドン精神」の意義を訴えるとともに、経済発展に向け連帯を呼びかけた。
 ジョコウィ大統領や習国家主席、スワジランドのムスワティ3世国王が23日の首脳会議で採択した「バンドン・メッセージ」の宣言文に署名、堅い握手を交わして6日間の記念会議・式典を締めくくった。(田村隼哉)

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