津波対策で日本に期待 被災地でリゾート開発 ジャバベカダルモノ会長

 不動産開発ジャバベカの創業者、セティオノ・ジュアンディ・ダルモノ会長(69)は26日、中央ジャカルタ・ムナラバタビアの事務所でじゃかるた新聞の取材に応じた。22日に発生したスンダ海峡津波で被災したバンテン州タンジュンルスンで同社が進める、海洋リゾート開発事業を継続、復旧に向け1千万ドルを出資するとし、津波対策などで日本の支援に期待した。
 ――タンジュンルスンでリゾート開発を始めた経緯は。
 1986年に国際協力機構(JICA)が行ったバンテン州の経済発展可能性についての調査に協力したのが始まり。世界中の観光客や投資家を集めるバリ州ヌサドゥアのように、州全体の発展を支える観光地を目指して1991年に事業を始めた。
 バンテン州は美しい海やアナック・クラカタウ山など、豊富な観光資源を持つ。15年にはジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領によって正式に経済特区に指定され、まずは15平方キロメートルを中心に開発する。
 ――開発が進む中で、津波に被災した。
 タンジュンルスンには津波による死傷者、財産を失った人が多数いる。まずは生活支援が大切。復旧や対策には1千万ドルを追加で出資し、役員も休暇を返上して現地で支援に当たる。
 ホテルは12月31日ごろから再開するが、津波でトラウマ(心的外傷)を持ったスタッフは休ませ、西ジャワ州ブカシ県チカランから派遣する。
 ――防災体制が整っていなかったことが被害を拡大したとの指摘もある。
 防波堤の建設については政府に要請してきたが、実現できていなかった。今回の被害を受け、将来的に実現するだろう。知見のある日本政府からの援助にも期待している。
 ほかにも津波予測システムと警報の導入、マングローブによる防災林の設置、避難シェルターの設置、防災訓練の実施など、対策を強化していく。
 ――海洋リゾートの今後の展開について。
 現在リゾート全体の客室数は300室だが、1万室を目指して開発を進めていく。来年の完成を見込む州都セラン~パニンバン(タンジュンルスン)間の高速道路が開通した暁には投資額を10億ドルに増やし、さらなる観光施設の開発を行っていく。
 ――日本の政府や企業に期待していることは。
 日本には災害からの復興を成し遂げ、数多くの観光地を開発してきた実績がある。インドネシア政府とも協力し、津波対策に関しての知見などを提供してほしい。
 タンジュンルスンはジャカルタから車で来られる海洋リゾートとして観光客を引きつける。バリはテロがあっても復興し、観光客を集めており、私たちもあきらめずに開発を続けていく。日本の企業には積極的な投資を期待したい。(大野航太郎、写真も)

セティオノ・ジュアンディ・ダルモノ
 1949年4月26日生まれ。ジョクジャカルタ特別州出身。英化学大手のインペリアル・ケミカル・インダストリーズ(ICI)勤務などを経て、89年にジャバベカを創業。2000~15年社長を務め現職に。ICI時代に日本人上司の下で働いた経験があり、年に複数回訪日する日本好き。

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