ランドセルのアート展 遠足プロジェクト 東北とアジアをつなぐ

 東日本大震災後に寄付されたランドセルを使ったアート展覧会「遠足プロジェクト」が、7月28日から南ジャカルタ・パンチョランのグダン・サリナ・エコシステムで開かれている。2012年から同展を企画しているカナダ在住のアーティスト武谷大介さんは、「インドネシア独特のランドセルアートも完成し、興味深い展覧会になっている」と来場を呼びかけている。
 ジャカルタでの展覧会は、武谷さんが企画し、インドネシアのアート団体である「ルアン・ルパ」が運営、国際交流基金が助成して開催した。インドネシア、シンガポールなどのアーティストによる作品約15点が展示されている。28日のオープニングで武谷さんは「2004年のスマトラ島沖地震などの震災を経験しているインドネシアの人々による作品には、震災の経験とそれを乗り越えて進もうとする意志が直接的に表れている」と表現した。
 遠足プロジェクトは、東日本大震災の被災地の自治体に寄付されたランドセルが、寄贈先が見つからずに廃棄処分となっている現状を知った武谷さんと宮城県女川町在住の美術教師、梶原千恵さんが始めた。
 武谷さんを通じ、カナダや日本のアーティストの手で中古のランドセルがアート作品に生まれ変わり、12年から宮城県など日本国内で巡回展を開始。カナダ・トロントやフィリピン・マニラ、シンガポールなど海外でも巡回展を実施し、現地のアーティストによる作品も加えられてきた。ランドセルを通して、被災地である東北地方と日本のその他の地方や海外の人々がつながることができていると評されている。 
 ジャカルタでの展覧会を終えた作品は、アチェ州バンダアチェにも送られ、8月27日〜10月10日まで津波博物館でも展示される。製作者のアーティストや地元の人々がランドセルを背負ってスマトラ沖地震で発生した津波の跡地などをめぐるウオーキングツアーも開催する。ジャカルタでは、アチェでのウオーキングツアーの様子を収めた映像や、一部到着が遅れた作品を含めた全作品による展覧会を10月に再度開催する予定となっている。 
 ジャカルタでの展覧会は日曜を除き8月11日まで。入場無料。開館は午前11時〜午後9時。詳細はウェブ(ruangrupa.org/15/)で。(藤本迅)

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