外国人就労許可を統括 大統領令で手続き簡素化 雇用計画書に一本化 滞在許可は最長2年

 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領はこのほど、外国人労働者に関する大統領令(2018年20号)を発令した。これまで取得が義務付けられていた外国人雇用許可(就労許可=IMTA)を廃止し、外国人雇用計画書(RPTKA)に一本化。暫定滞在許可(ITAS)の最長期間を2年間とした。手続きの簡素化を図ることで外国人労働者の受け入れ体制を改善する姿勢をアピールした。
 外国人労働者に関する大統領令は、ユドヨノ前大統領が政権末期に発令した大統領令(2014年72号)以来、4年ぶり。ジョコウィ大統領が3月26日に署名し、ヤソナ・ラオリ法務人権相が署名した同月29日から3カ月後の6月下旬に施行される。
 大統領令では、まず外国人労働者はあくまでインドネシア人労働者の補完的役割を担い、インドネシア人への技術移転を目的とすることを確認し、企業のいかなる役職も「インドネシア人を優先し、外国人の登用は認めない」と規定。外国人が人事や特定の役職を調整することを禁じると明記した。
 目玉となる労働省管轄の就労許可の手続き簡素化では、外国人雇用計画書を関係省庁に申請し、大臣・長官から承認を得ると規定。これまで別々に取得が義務付けられていた外国人雇用許可を廃止し、雇用計画書が雇用許可(就労許可)になると明記した。

■2日以内の承認
 雇用計画書に最低限明記する項目は、雇用理由、役職、雇用期間、外国人を補佐するインドネシア人労働者。申請に必要な提出書類は事業許可書、企業登記、役員名簿、補佐役指名・研修実施の証明書、外国人の役職の資格に応じた研修証明書。申請書類がそろってから2日以内に雇用計画書を承認するとした。
 「一時的な外国人の雇用」として最長6カ月の期間を設け、職種の具体例として会計検査、生産の質管理、企業の支店視察、機器の設置・保守に関係する業務などを挙げた。
 一方、雇用計画書提出を必要としない外国人労働者として、企業の幹部や役員である株主、外国公館の外交官や領事、政府が必要とする職種の労働者を挙げた。
 雇用計画書で、届け出が必要になる変更項目は、外国人労働者の雇用者の住所・名前、外国人の役職、業務内容、雇用期間、当初の雇用計画書で認められた外国人やその補佐役のインドネシア人の数を挙げ、関係閣僚・省庁幹部に変更事項を明記した雇用計画書を再提出し、受理後2日以内に承認するとした。
 緊急時の外国人雇用は業務開始後、2日以内に雇用計画書を提出すると定めた。

■管理連携は段階的
 法務人権省出入国管理総局(入管)が発行する滞在許可(ITAS)は、最長で2年間、さらに細則に応じて延長可能とし、従来と同様に再入国許可(数次)を同時申請・取得する。
 6カ月以上就労する外国人労働者に対し、労働保険(BPJSクテナガクルジャアン)か、民間の保険会社への加入を義務付けた。
 外国人労働者の管理担当者については、労働省と入管の職員を併記し、両者がそれぞれ管轄に応じて調整を図るとするにとどめた。閣僚や省庁幹部は、外国人のデータを勤務地のある地方自治体(州・県・市)担当部局へ伝え、共有化を進めるが、あくまで段階的にオンラインでデータを共有していくとした。外国人雇用に関する違反への罰則は、労働省の細則で規定する。
 ジョコウィ大統領はこれまで投資ネガティブリスト改正などを通じ、外資誘致への積極姿勢をアピール。しかし一方で、外国人労働者の許認可をめぐる複雑な手続きや不透明な法の運用、外国人の管理・摘発などに対し批判が続出していることを受け、3月6日の閣議で早急に改善すると明言していた。(配島克彦)

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