スプリンクラー作動せず 16〜20階焼ける  ウィスマ・コスゴロ火災

 中央ジャカルタ・タムリン通りのビル「ウィスマ・コスゴロ」で9日に起きた火災は、10日午前9時ごろまで、10時間以上にわたって燃え続け、16〜20階を焼いた。その後の調査で、出火時にスプリンクラーや火災感知器などが作動しなかったことから、防火設備の不備が浮き彫りになった。

 火勢は10日未明にいったん収まったが、同日午前6時ごろ19、20階から再び黒煙が上がった。消防がはしご車から放水し、約2時間後に消火した。出火原因は不明。死傷者はいない。
 ビルには、一定値の熱を感知して放水するスプリンクラーと、熱、煙を感知して警報を発する火災感知器が付いていた。しかし、中央ジャカルタ消防署のイドリス署長は、16階でスプリンクラーが作動した形跡はなく、警報も鳴らなかった可能性があると指摘。当時ビルに残っていた会社員らの証言からも、警報が鳴っていなかったことが分かった。
 署長は「安全のために防火設備を点検したり、新しくするよう日頃から警告していた」と述べ、ビル側が設備の点検を怠っていたと批判。2005年には20階建てのビルに防火設備の見直しを求め、同ビルも対象だったが、その後3年で改善はみられなかったという。防災訓練なども実施していなかった。
 ビルを所有するハヨノ・イスマン氏は、防火設備の不備に対し、消火栓が少ないことが火災が広がった原因だと反論した。
 国家警察のリクワント報道局長は、出火原因を調査中とした上で、防火設備に不備があったとする主張に同調。消火栓を含め地下水が少ないため、スプリンクラーが作動しても水が十分でなかった可能性も示唆した。300メートル余り離れたホテル・インドネシアのプールから、消火の水を引いたことを挙げ、「消火設備が作動しなかった可能性は高いが、消火栓から十分な水量が出なかったことも問題だ」と話した。
 同ビルのメンテナンスを担当するエンジニアによると、火災で落下したビルの窓ガラスは、可燃性の物質で作られていたと証言。非常用照明灯なども数カ所壊れている状態が続いているという。
 ウィスマ・コスゴロは21階建てで、1970年に建設。銀行や外国系雑誌メディアなど約100社が入居している。16階では以前にもガスコンロの火を消し忘れて火事になったが、大きな被害は出なかったという。(山本康行、西村百合恵)

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