月末からバティック教室 成澤博道さん 「本物の奥深さ伝えたい」
バティック(ろうけつ染め)作家の成澤博道(はくどう)さん(65)=兵庫県宝塚市=が、月末から来月上旬にかけ、南ジャカルタ・クバヨランバルで、主に在留邦人向けのバティック教室を開く。伝統的なバティックの衰退が目立つなか、成澤さんは「本物」の製法や奥深さを伝えたいと張り切っている。
成澤さんは国立バティック研究所(ジョクジャカルタ特別州)を卒業した唯一の日本人で、宝塚市の工房を拠点に作家活動を続ける、日本のバティックアートの第一人者。バティックとの関わりは40年にわたるが、インドネシアの現状を、「危機的状況にある」と指摘する。伝統的な技法を持った職人や、それを支える道具類が消滅しているからだ。
成澤さんによると、本場・中部ジャワ州ソロなどの職人でさえ、ろう描きの専用道具「チャンティン」の本来の持ち方が出来なくなっている。そのチャンティンも、本来は先端に銅が使われていたが、耐久性がある真鍮製に押され、昔ながらのチャンティンは姿を消した。銅製でしか描けない古典柄もあり、バティックの最盛期といわれる1900〜1930年の柄を再現するのは不可能になったという。
そこで、成澤さんは「衰退してしまった本物のバティックについて、地元で指導したい」と、一般向けの教室開催を決めた。昨年末にジャカルタで開いた個展に訪れた邦人らから、開催の希望が寄せられたことも後押しした。成澤さんによると、外国人がインドネシアでバティック教室を開くのは初めて。
教室では、ハンカチなど小ぶりな布に伝統的な図柄を描くことから始め、全工程を紹介する。成澤さんは技法だけでなく模様の意味や、バティック文化の背景にあるインドネシアの歴史や風習も幅広く伝えたいという。
教室は今月30日と4月1、3、7、9、11の計6日開催で、それぞれ午前10時から午後3時まで。クバヨランバルにある民家を会場にする。今回は3週間ほどの滞在だが、今後も成澤さんや弟子らが訪問し、継続的に教えたいとしている。
コースや費用の問い合わせは、成澤さんの妻の恵理さん(日本の携帯090.8210.3458、今月27日以降はインドネシアで使用する携帯087.8860.91365)まで。(道下健弘)