目立つ韓国・中国企業の動き 自動車・金融・ITで活発

 ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)法人部会の活動などを通じて、韓国系企業の方々との知己を得る機会があるが、彼らのインドネシアでの在籍年数・ローカル企業群との取引関係の深さなどには、しばしば驚かされる。
 また、インドネシアの地方都市を歩くと、中国人が多くなったと感じることがある。印象論にすぎないが、彼らの存在感はこの2年間でも日増しに大きくなっている感がある。今回はインドネシア経済における、韓国と中国の存在感について、データを基に考えたい。
 外務省の在留邦人数推計によると、インドネシアにおける日本人の数は1万9612人(2018年10月時点)。他方、韓国人は約3万1千人、中国人は華人や中国系まで含めると800万人弱、と言われている。
 元々インドネシアでは、日本人よりも中韓の両国籍の人数の方が多いのだが、冒頭に述べたように、強く印象に残っているのは、韓国企業や中国企業の活動が最近目立っているからであろう。
 韓国企業では、21年に現代自動車が現地生産開始とのニュースが報じられた。カラワン地区(西ジャワ州)に1千億円規模の電気自動車(EV)工場の投資計画が存在するとの報道であった。第2工場の構想もあると聞く。
 さらに、韓国のベンチャーキャピタルも、虎視眈々(たんたん)とインドネシアへの出資機会を狙っているようだ。先月、韓国はインドネシアと自由貿易協定(FTA)の締結で実質的に合意したこともあり、追い風を受けて韓国からの投資は今後さらに拡大していくことになりそうだ。
 次に中国企業であるが、上汽通用五菱汽車が17年にインドネシアに進出して以来、徐々に自動車販売台数を伸ばしている。モーターショーにおけるスペースは年々拡大しており、街中でも見かける機会が増えた。彼らはタイやブルネイ、フィジーに向けた輸出も開始しており、インドネシアを戦略拠点として捉えている。また、現代自動車と同様に来年から電気自動車(EV)の生産を行うとのうわさもあることから、今後も注視すべき存在になりつつある。
 また、その他の中国企業においても、特に不動産開発や情報技術(IT)分野での活躍が目立つ。金融面でも、ファイナンス案件における中国系銀行との競合は確実に増えてきている。
 元来、中国企業は中国国内の景気減速を見越し、インドネシアに限らず、タイやベトナム、フィリピンに積極的に進出しており、大きなビジネス網を形成している。
 よりマクロに見ていきたい。インドネシア投資調整庁(BKPM)が発表した第3四半期の外国直接投資(FDI)の実績では、中国は10億ドルで国別第3位の実績で、FDIの15%弱を占めた。一方、日本は9億ドル、韓国は発表無しであった。
 中国からの直接投資は、ジョコウィ第二次政権においても重要な存在感を示す可能性が高い。14年に発足した第一次政権時には、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)や巨大経済圏構想に賛同し、うまく中国からの投資の呼び込みに成功した経験があり、首都移転を含めた資金確保面において、中国からも多額の直接投資を呼び込みたいはずだ。
 ただ、インドネシアの歴史的背景などを考慮すると、過度な中国への傾斜は国民の反発や事業工期の遅れなどのリスクを招く可能性があるため、慎重な対応を求めるバランスも働くだろう。
 このように、インドネシアにおける韓国・中国の存在感は徐々に高まっており、今後この国の経済発展において重要な役割を担っていくとみられる。
 われわれ、日系企業としても、彼らの展開を注視しつつ、この国でさらに存在感を高める経済活動を推進していかなければならない。(江島大輔・三菱UFJ銀行執行役員ジャカルタ支店長)

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