越境で支える日本の輸送

 近年、日本では少子高齢化の影響により、トラックドライバーの不足が深刻化しています。全日本トラック協会によると、2022年度時点でドライバーの有効求人倍率は全国平均で4倍を超えており、特に中型・大型トラック分野では人材確保が一層困難な状況が続いています。
 さらに、24年4月からは、18年6月に改正された「働き方改革関連法」に基づき、トラックドライバーに対し、年間960時間の時間外労働上限規制(いわゆる「物流の2024年問題」)が適用されました。この影響により、国土交通省が関係閣僚会議や有識者検討会で示した試算では、30年には国内の輸送能力が最大34%不足する可能性があるとされており、物流業界にとって人手不足への対応は喫緊の課題となっています。
 こうした背景を受けて、日本政府は24年3月より、トラック運送業にも「特定技能1号」(特定産業分野に属し、相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する外国人向けの在留資格)制度を適用し、外国人ドライバーの受け入れを正式に開始しました。
 当社、PT. Hino Motors Sales Indonesia(以下、インドネシア日野販売)は、この制度への対応をいち早く進め、インドネシア人材を対象とした日本向けドライバー育成講習の提供を開始しており、日本の物流業界における持続可能性の推進および日本・インドネシア間の人的交流の活性化に貢献することを目指しています。
 インドネシアは日本と同様に右ハンドル・左側通行を採用しており、日本の交通環境への適応が比較的容易です。また、多くのインドネシア人ドライバーは、渋滞や悪路といった過酷な運転環境に日常的に対応しており、現場対応力と忍耐力に優れている点も特筆されます。さらに、文化的背景として飲酒習慣が少ないことも、安全運転の観点から注目されています。
 インドネシア日野販売では、日本の道路交通法規、安全運転マナー、貨物輸送の基本ルール、さらに車両の構造・機能に関する理解と正確な操作技術に重点を置いた専門講習を展開しています。
 車両使用前の点検を徹底し、基本的な運転操作から応用技術、安全運転、さらには緊急時の対応まで、実際の業務現場を想定したロールプレイ形式で技能の定着を図っています。
 これらの講習を通じて、受講者は日本の高い安全基準に対応できる知識と技術を習得し、日本での運転免許取得を目指すうえでの基礎力を身につけることができます。
 インドネシア日野販売は、インドネシアの優秀な人材が日本の物流業界で活躍するための基盤づくりを支援し、今後も日野ブランドの技術と知見を活かして、持続可能な物流インフラの構築に貢献してまいります。
 また、内容はやや異なりますが、インドネシア国内のお客様を対象とした運転講習にも取り組んでおり、22年1月には運転講習専用施設「Hino Total Support Customer Center(HTSCC)」を西ジャワ州プルワカルタに開設いたしました。車両使用前の点検や安全運転による交通事故の予防、業務効率の向上などを通じて、インドネシアの物流業界全体の持続可能な発展にも貢献してまいります。(インドネシア日野販売社長 武藤貴史 JJC自動車グループ代表理事)

為替経済Weekly の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

クナパくんとブギニ先生NEW

私のじゃかるた時代NEW

編集長の1枚NEW

キャッチアイ おすすめニュースNEW

インドネシア企業名鑑NEW

事例で学ぶ 経営の危機管理

注目ニュース

マサシッ⁉

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

有料版PDF

修郎先生の事件簿

メラプティ

子育て相談

これで納得税務相談

おすすめ観光情報

為替経済Weekly