日本の技術と経験でインドネシアの未来を共創

 これまで日本の技術は、電力等の社会インフラ整備や自動車産業含む様々な分野でインドネシア経済発展の伴走者として時代に則した貢献をしてきた。現在、プラボウォ大統領は「2045年迄に世界五大経済国入り」及び「国家安全保障強化」を目指し各政策を実施しているが、その実現に向けこれからも日本の技術への期待は大きい。
 「世界五大経済国入り」のドライブとしては、全ての国営企業を統括管理する政府系投資会社ダナンタラを設立し、総額1京ルピアに及ぶ国営企業資産を活用し、特に資源輸出偏重から同資源を国内で活用・加工し高付加価値を狙った「産業下流化」を促進させようとしている。昨今「縮む中間層」が問題となる中、国内高付加価値産業を育成する方針は、インドネシアの中長期的な経済発展に必要不可欠であり、今後ダナンタラには全体最適で効率的な投資運用が求められる。
また、インドネシアの30年時点のデジタル市場規模は3660億ドルに拡大が見込まれ、デジタル経済の海外投資促進に係る法整備にもプラボウォ政権は力を入れており、2・8億人のデジタル需要を支えるデータセンターや通信衛星網の更なる発展が見込まれる。当社グループは、高付加価値産業を支える製品として、製油所向けのコンプレッサーや、高効率で脱炭素にも貢献する鉄鋼機械や紙工機械、チラー等の様々な産業機械を提供しており、また、データセンター向けのエンジンやH3ロケットを使った通信衛星打ち上げビジネス等、今後のデジタル経済を支える提案も行っていきたい。
 「国家安全保障強化」としては、プラボウォ政権は食料保障、海洋安全保障、エネルギー保障の3点を推進している。食料保障に関してはプラボウォ大統領肝入りの学校無償給食事業も大きく関係するが、各省庁の大幅な予算カットや衛生問題による食中毒事故頻発等、同事業推進による負の側面も出てきており、同事業に豊富な経験を持つ日本のサポートやコールドチェーン網の確立等が求められている。
 海洋安全保障の強化は、1万7千を超える島々を持つ海洋国家として喫緊の課題であり、国家予算としても国防費はほぼ削減されていない。最近では、JICAの無償資金協力に基づき、当社グループが巡視船1隻の建造でインドネシア海上保安機構と契約締結をした。エネルギー保障強化では、25年~34年の電源計画であるRUPTLが正式発行され、年率8%の経済成長目標に基づく電力需要増を見越し今後10年間で電源設備容量をほぼ倍増させる計画となっている。設備増量の内約61%を太陽光や地熱等の再生エネが占めているが、ガス焚や石炭焚も約24%を占め、再生エネの普及が計画通りに進まない中で現実的な解として自給可能な燃料である石炭・ガスへの回帰が鮮明になっている。
 当社としては、これまで18GWの火力並びに地熱発電所の主要設備をインドネシアに納めた実績・経験を活かし、水素混焼可能なガスタービンや地熱排水を利用したORC発電設備の追設等、段階的且つ現実的な提案を通して今後も同国の電力需要と脱炭素化に応えていきたい。また、同国への3000台を超えるエンジン納入実績を活かし、特に離島等のオフグリッド地域の小規模発電用に使用されているエンジンを、輸入に頼るディーゼル油焚きから、自国生産可能且つCO2排出削減にも繋がるガス焚きやバイオディーゼル焚きのエンジンに代える提案を通して、離島・僻地のお客様へのニーズにも寄り添った対応をしていきたい。(尼国三菱重工業社長 吉岡徹 JJC機械グループ代表理事)

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