「珍獣」追って密林探索 世界最小級メガネザル  タルシウスを観察 北スラウェシ州マナド近郊

 北スラウェシ州マナドはダイビングで有名だが、陸上でも生物は多様だ。近郊のタンココ自然保護区は、手軽に固有種を観察できる動植物の宝庫。コモドドラゴン、オランウータンに次いで、インドネシアの代表的な「珍獣」の一種として知られる世界最小級の猿、タルシウスを追い求め、日没前後と早朝の密林を歩いた。

 日本ではメガネザルと呼ばれるタルシウス。NPO(非営利組織)マナド・ネットジャパンはウェブサイトでその目の大きさの比率を「人間の顔ならテニスボールの大きさ」と紹介している。
 タルシウスは夜行性で、観察は日没に行われる。公園内の滝や温水が湧き出る場所に立ち寄った後で、日が沈みかけたときに、ガイドが知っているとっておきのポイントに向かう。
 「観察できるという保証はない」と出発前に何度も念押しされたが、ガイドが来る途中に捕まえたバッタを、木と木が絡みあってできた隙間におくと、大きな目と耳のある、ねずみほどの大きさのタルシウスがするすると降りてきた。小さくてもやはり猿。手はきちんとものをつかめるが、細長くて人間のミイラの手のようで、顔とは対照的で気味が悪い。
 翌朝には、宿泊施設のあるバトゥプティ村から歩き出して30分もしないうちから、80頭のクロザルに取り囲まれた。しかし、栃木県の日光にいる猿とは違い、人を襲うことはあまりないという。
 次に探したのは、黄色いくちばしが特徴のサイチョウ。めったに木から降りることがなく、近付くと「バッサバッサ」と飛び去ってしまう。「クォクォ」と密林に響く鳴き声を聞いて、「あそこだ」「今度はあっちに行った」と何度もガイドと丘を往復して追いかけ、やっと高さ20、30メートルの木にとまるサイチョウを肉眼でとらえた。
 このほか、有袋類のクスクスや希少種のバビルサ(豚鹿)がいるとの情報もあり、保護区を通じて、インドネシアの誇る生物の多様性の一端をかいま見ることができる。

◇タンココ自然保護区
 マナド市内から車で約2時間。正式にはタンココ・バトゥアンガス・ドゥア・サウダラ自然保護区といい、計9千ヘクタールほどの土地に、アジア、オセアニア系統の動植物が生息。バトゥプティ村に、数件の簡素な宿泊施設があり、ガイドを手配できる。タルシウス以外の動物を見たければ、一泊して早朝に探索するのがよい。傾斜のゆるい登り下りがある程度で、子どもからお年寄りまで散策が可能。

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