【じゃらんじゃらん特集】 墓場でショッピング  西ジャカルタ  トゥガル・アルール

 軒を連ねる100以上の露店。遊園地さながらのアトラクション。1千以上の人が吸い寄せられるように集まる。土曜の夜だけはそこが墓場であることを忘れさせる。

 午後4時。静寂なイスラム墓地に似つかわしくない露店が次々と立ち上がる。店は墓石のある二つのエリアに挟まれる道に沿う。道はオートバイが往復し、商人がせっせと商品を並べる。
 いつの間にか周囲は闇。街灯で不気味に光る墓石のすぐそばで、大音量のダンドゥットが鳴り響く。通りは服やかばん、アクセサリー、おもちゃ、海賊版DVDなどが並び、あちらこちらで値段交渉が繰り広げられる。
 西ジャカルタ・トゥガル・アルールの公共墓地で毎週土曜日に開かれる夜市だ。住民によると市場は5年ほど前からある。墓場の広い敷地を利用しようと始まったようだ。小学生以下の子どもの姿が多いのは住宅地の中にあるからだという。
 奥には仮設遊園地が広がる。列車や回転ブランコ、手のひらサイズのボールが敷き詰められたテントなどが陣取る。小さな列車の1人乗り車両はディズニーのドナルド・ダックやハローキティーによく似た顔を持つ。回転ブランコは常に満席だ。それぞれ3千ルピアで楽しめる。
 午後8時にもなると、墓地の正門や裏側にあるカンプン(集落)から住民がなだれ込む。近隣のカンプンに住む公務員リドワンさん(38)は毎週、妻と息子のサスティヤ君(3)を連れてやって来る。回転ブランコと列車をはしごするのが恒例になっているという。「家族で楽しめる。こんなににぎやかな墓地は他にないだろうね」
 日付が変わるころ、墓地はまた1週間の静寂を取り戻す。土曜の夜を終えた遊園地は遊具を解体してトラックに積み込み、別の場所へ移動する。運営するギミンさん(30)によると遊具一つで1日20万ルピアほどの利用料が得られるという。(堀之内健史、写真も)

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