【じゃらんじゃらん特集】 弦の音色、伝統の響き 「若者にも伝えたい」 ジャカルタ琴クラブ

 インドネシアの若者を中心に日本のポップカルチャーが人気を集める中、日本の伝統文化に関心を持ってもらおうと、ジャカルタ琴クラブは、各地で琴の演奏活動を精力的に行っている。先月のジャカルタ日本祭り(JJM)にも出演、ショッピングモールに弦の荘厳な音を響かせ、買い物客を魅了した。     
 ジャカルタ琴クラブはインドネシア各地で演奏会を開いてきた。バンカ・ブリトゥン州バンカ島やジョクジャカルタなどのイベントへ参加。2010年2月には、中央ジャカルタの文化施設タマン・イスマイル・マルズキ(TIM)で、故アブドゥルラフマン・ワヒド元大統領を偲ぶ音楽イベントに出演した。
 昨年は、ジョクジャカルタ芸術大学のイベントに出演。女形や能楽など幅広く日本の芸能を学び、日本でも多数公演してきた舞踊家ディディック・ニニ・トウォックさんと共演したこともある。
 結成のきっかけは、2009年、インドネシア女性会議(KOWANI)主催のイベントで、高柳光子さん(25)が師匠の小笠原沙慧さんと演奏したこと。それ以来、高柳さんは、琴の魅力をインドネシア人や在留邦人へ伝えようと参加者を募ってきた。
 最初は生徒1人と2人でのスタート。先生役を務める高柳さんは仕事の傍ら、休日には生徒の指導にあたり、琴の初心者だった生徒も公演会で演奏できるまで上達した。
 高柳さんは高校、大学と琴を続け、高校生のときに全国1位になった腕前。大学時代に師匠と演奏会に出演。大学卒業後、インドネシアに渡り、琴を一緒に持って来たという。
■ブンガワンソロも
 これまで週1回ほど、マンションなどに集まり、高柳さんが生徒に基礎技術と演奏曲を指導してきた。生徒はそれぞれ自宅でも、教わったことの練習に励む。「指先に神経を集中して琴を奏でるのが大切。琴を体の一部だと意識してリズムを取ります」と語る高柳さん。「その人の思いが音色として表現される。細かい意識の積み重ねが琴を上達させます」
 演奏会はショッピングモールや音楽イベントなど、ほぼ毎月ある。公演を意識しているため、演奏する曲目は多彩だ。インドネシア人の好みに合わせて、リズミカルでアップテンポな曲調にした「さくらさくら」「黒田節」「荒城の月」など日本の曲のほか、インドネシアで戦前から歌い継がれ、日イ友好の歌としても知られるクロンチョンの名曲「ブンガワン・ソロ」などもレパートリーに加えている。
 琴クラブの演奏を見て、琴の迫力に魅了されたという初心者の山本総子さんは「公演を見に行ったとき、静かなイメージの琴が実はとても躍動感のある音を発することに驚きました」と魅力を語る。
 来月はバリの音楽祭で演奏する予定という。最近はモールなどで開かれる日本関連のイベントに呼ばれることも増えている。もっとたくさんのインドネシア人に琴の音色に触れてもらおうと、機会があれば積極的に演奏会を開いていきたいという。
 演奏依頼など問い合わせは、桜井マサ子さん(メールluxehotel@cbn.net.id)まで。(小塩航大)

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