コーヒー天国の小さな冒険 南ジャカルタ パサール・サンタ

 世界有数のコーヒー産地インドネシア。全国各地のバラエティー豊かなコーヒーを購入できるパサール・サンタはインドネシア在留邦人の間では「コーヒー天国」とも呼ばれている市場です。今回のおすすめ観光情報は南ジャカルタにあるパサール・サンタ、コーヒーと市場の魅力を紹介します。(旅とアートのクリエーター 水柿その子 写真も)

 2025年、世界のカフェが多い国ランキングでインドネシアが堂々の1位に輝いたというニュースがありました。元々仲間や家族で集まるのが大好きな国民性、時代の安定や収入の増加に加えて人口の90%以上が飲酒を禁ずるイスラム教徒というお国柄で「飲みニケーション」の場として居酒屋の代わりにカフェが台頭、躍進中というところでしょうか。このコーヒーブームは留まることを知らずまだまだ過熱しそうな勢いです。
 そんな今では想像もできませんが、インドネシアで庶民の間に現在のようなドリップコーヒーを飲む文化が広がり始めたのはまだほんの10年くらい前のこと。スターバックスが初出店した2002年当時も一部の富裕層、海外在住経験者や外国人などが利用するような別世界、庶民にとっては敷居が高い高級レストランなどと同じような位置付けで、スターバックス以前では私たち在留邦人もドリップコーヒーが飲みたい時はホテルのラウンジや日系レストラン、そうでなければ自宅で淹れるのが日常的でした。
 当地では一般的なコーヒーは「インドネシア風」と呼ばれるコーヒーの粉をカップに直接入れてお湯を注ぎ、粉が沈殿するのを待って飲むタイプ、またはお砂糖と粉クリームが一袋に入ったインスタントコーヒーなどが主流。こうしたコーヒーもどれだけカフェが増えてもまだまだたくさんの種類が販売されていてスーパーのコーヒー売り場は賑やかです。
 さて、パサール・サンタが南ジャカルタの住宅街、クバヨラン・バルに伝統市場として開設されたのは1971年のこと。2007年には半地下1階、地上2階建てに改修されてより衛生的に使いやすくなりました。現在も半地下が生鮮食品や主にキッチン用品の市場、1階が衣料品や家庭用品、2階がフードコートとポップカルチャーの発信基地になっています。
 コーヒー豆が買えるお店は半地下にあります。業者やカフェ営業の関係者らしき大量購入者やお土産を求める外国人の姿が殺到しているのも日常風景、連日大賑わいです。初参戦の方にとってはこの熱気に圧倒されて何をどうして良いかわからない…という状態になるかもしれません。そこでポイントを。味の好み、欲しい豆をあらかじめまとめておく、知人におすすめを聞いておく、100g、500gなど購入する量を決めておくなど現場で戸惑わないための周到な下準備。「一番人気の豆」「一番高い豆」など出たとこ勝負で店員に聞いてみたり、見たことも聞いたこともない名前の豆をルーレット気分で選んで飲み比べなどしてみるのもインドネシアならではの贅沢かもしれません。購入は、豆のままか、「細挽き」「中挽き」「粗挽き」などの挽き加減を伝えてキャッシャーで先払い、その後に豆のコーナーで伝票を渡します。
 オーダーから自分の名前が呼ばれるまでの時間はパサール(市場)気分をさらに楽しみましょう。生活雑貨店で目を引く鮮やかな小分けにされて吊り下げられた小袋。シャンプーや洗剤など、よく見るとお馴染みのメーカーの商品も多数あります。これらは必要分だけ持って行くことができるので旅行の時に役立ちます。ぶら下がっている商品の中にはやはりインスタントコーヒーもありますね。そして、生鮮食品のエリアには新鮮な野菜や果物、お豆腐なども山積みされていて気が付けば両手いっぱいのお買い物、なんてことにも。
 香り豊かなコーヒーを飲みながら、野菜を切ったり煮たりのお料理タイム。一時帰国のお土産コーヒーにちょっとした市場体験談を添えて家族や同僚と笑い合う。皆様もパサール・サンタが創出する充実時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

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メール sonokomizugaki@gmail.com

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