国際政治の舞台に立つ AA会議博物館 バンドン

 東西冷戦下の1955月4月24日。国際社会はこの日、インドネシアの一挙一動に注目していた。アジア、アフリカからバンドンに結集した29カ国の首脳が訴えたのは「反帝国主義、反植民地主義」。米ソ二極体制に対峙し、「第三世界」の結束を示すアジア・アフリカ会議(AA会議、バンドン会議)だった。当時の議場は博物館として一般公開されており、コロナ問題収束後、国際政治史に残る舞台に立ってみるのはいかがだろう。

 中央ジャカルタのガンビル駅から、バンドンまで列車で3時間ほど。ただ、公共交通機関の利用は新型コロナの感染リスクもあり、車移動の方が安心感があるかもしれない。距離は150キロほどなので、渋滞がなければ2時間あまりで行ける距離だ。
 AA会議博物館はバンドンの中心部にあり、斜め向かいはホテル・サボイ・ホーマン。古いホテルだが、会議に出席した各国首脳が宿泊したという歴史的な場所でもある。館内の展示コーナーには「サボイ・ホーマンは歴史的瞬間の目撃者」とあった。
 国際政治史におけるAA会議の意義は別稿に譲るとして、冷戦下において「第三世界」の連携は超大国に「平和共存」という新たな枠組みを認めさせた。その議長を務めたインドネシアのスカルノ大統領が果たした役割は大きいといえよう。
 博物館に入ると、領土・主権の尊重や相互不可侵内政不干渉などを謳ったいわゆる「平和10原則(バンドン10原則)」を宣言するスカルノ大統領が〝お出迎え〟。
 会議で中心的存在を示した中国の周恩来首相、インドのネルー首相たちのろう人形の表情は一様に厳しく、「第三世界」の基軸確立を模索する当時の指導者たちの緊張感が伝わってくるようだ。
 博物館見学が終われば、西ジャワ州政府庁舎にも立ち寄りたい。グドゥン・サテと呼ばれ、地元っ子にはランドマーク的存在。1920年代のアールデコ建築は確かに美しく、インスタ映えする空間でもある。
 そして食事はやはり、スンダ料理で舌鼓をといきたい。伝統的な食堂は食材を店頭で選び、調理法を指示して席で待つスタイル。高原野菜が豊富で、体に優しい料理がなんとも嬉しく、インドネシアでは珍しい生野菜も堪能することもできる。
 さて、竹の特産地でもあるバンドンに行ったなら、ユネスコの無形文化遺産に登録されたアンクルンの世界ものぞきたい。観光地にもなったサウン・アンクルン・ウジョも楽しいが、筆者は全国大会に向けて練習に励むグループの演奏を聴かせてもらった。
 それがアンクルンの優しい音色はそのままに、アグレッシブというか、情熱的な編曲に鳥肌が立つほど感動。AA会議博物館が目的のバンドン訪問だったが、思わぬ旅のおまけにインドネシア文化の奥深さを感じることができた。(長谷川周人、写真も)

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