雨の日も晴天の日も、偉大なる自然を学ぶ 西ジャワ州 ボゴール植物園
ジャカルタ近郊でもっとも有名な観光地のひとつ、「郊外へのちょっとおでかけ」にぴったりの観光地、ボゴール植物園。ジャカルタ中心地からも車で1時間から1時間半で行くことができます。これまでのおすすめ観光情報ではボゴールの博物館や寺院などを多く紹介してきましたが、それもこれもボゴール植物園あってのこと。今回のおすすめ観光情報は改めてボゴール観光の王道、ボゴール植物園を紹介します。
4月11日付けの本コーナーで紹介したボゴールのスルヤクンチャナ通り入り口の中華門から道を挟んだ真ん前にボゴール植物園のメインエントランスがあります。
ゲートはその他にもいくつかありますが普段は閉鎖されていることが多く特別なイベント時のみ開放されるスタイルのようなので来園者はこのメインエントランスを目指すのが安心。入り口横にはトイレもあるので広い園内散策前の用足しはここで。近くのちょっとしたお土産店、カフェは待ち合わせにも便利です。
面積約80ヘクタール、東京ドーム約17個分の広大な敷地というボゴール植物園。敷地内には見るからに樹齢何百年というような大木から気が付けば足下に咲いている可憐な花まで15000種以上の植物が自然に近い環境の中で、また一部の貴重な種や特別な研究用の植物は関係者限定区間の厳重体制下で管理されています。さらに、展示会やコンサートなどのイベントも積極的に開催し一度だけではなく何度でも訪れたい街のコミュニティスペースとしての役割も担っています。
庭園としての開放感や魅力もひときわです。足を進める度に次々と入れ替わり立ち替わり見える異なる木々や草花、池や川などのランドスケープは特に植物に興味がない人でも飽きずに散策が楽しめます。老木、落ち葉、散策路などの手入れといった安全性への配慮も行き届いていている点も管理された環境下ならでは。川辺や吊り橋などインドネシア映画のロケ地としても度々使われているスポットもあるので映画好きさんの中には印象的な場面を思い出す人もいるのではないでしょうか。
1年中雨量が多く、いつの頃からか「雨の街」と呼ばれているボゴールは元々豊かな植生に恵まれた自然環境。「また雨…いつになったら乾季になるの?」と言う世間話が続いている今年のジャカルタから訪れてもなんのその、ボゴール植物園には晴天の爽快な青空も、しとしとと、はたまたゴウゴウと降る雨も、どんなも景色も似合います。本来ならもっと乾燥した地域に生息している植物では?と思うようなメキシコのサボテンやアフリカのバオバブなども立派に育っているのも摩訶不思議。それぞれの樹木には学名や原産国が掲示されていますのでお散歩がてらそうした疑問を浮かべながら植物豆知識を試してみるのも面白いかも知れません。
ところで、ボゴール植物園はインドネシア語で「クボン・ラヤ・ボゴール」と言う名称です。「クボン・ラヤ」で植物園。英語で言うところのボタニカルガーデンという表現ではなさそうです。「ラヤ」は「大きな」という意味で「ジャラン・ラヤ」なら大通りになります。また、単なるサイズだけではなく存在の大きさを表す「偉大な」という意味もあります。「インドネシア・ラヤ」といえばインドネシアの国家。自国を尊ぶ壮大な歌詞とメロディが一度聴くと忘れられない楽曲です。ボゴール植物園を訪れると、「クボン・ラヤ」の「ラヤ」にも単に「大きい、広い」という意味を越え、「植物園」という枠を越えた自然や植物への敬意と感謝が含まれているように思え、そうした気持ちが自分自身の中にも改めて湧いてきます。皆様もぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか。(旅とアートのクリエイター・ライター 水柿その子 写真も)