インドネシア最古の博物館のひとつ ラドヤ・プスタカ博物館 中部ジャワ・ソロ

 歴史的、文化的、考古学的、地政学的…などなどどんな切り口からでもその重要性を挙げたら切りが無いほど多くを語り伝えてくれる博物館。インドネシアにも新旧様々な博物館があります。今回のおすすめ観光情報は先月に続く中部ジャワ州ソロ市の見どころ第二弾としてソロ市にあるラドヤ・プスタカ博物館(Museum Radya Pustaka)を紹介します。 

 ラドヤ・プスタカ博物館は、手作業の額装店通りや本屋通り、陸上競技場やソロの伝統文化で人間が人形のようになって演じる「ワヤン・オーラン」の劇場などが集まる一角に所在しています。ソロの芸術文化とスポーツの中心地と呼んで良いこの場所に位置するだけあり、ジャカルタの国立博物館と並んでインドネシア最古の博物館なのだそうです。建物も昔ながらの風貌で懐かしい外観。屋根や窓枠なども心地良い趣を放っています。
 入場券を購入する受付は半オープンエアのエントランスポーチ。無料エリアだというのにすでに展示物が並んでいます。大砲、石像、調度品…。一見無造作にも見えるゴロゴロとしたこれらの展示品は植民地時代にはまさに恐らく何処にでもゴロゴロしていたもので、日本人が自宅の庭に「分かる人には分かる」庭石を置くような感覚で置かれているようにも見えます。
 さて、館内。展示物は古い影絵芝居ワヤンの人形、ガムランセット、古銭など少々かび臭さが感じられるようなとにかく古い博物館です。その中でも目を引いたのはジャワ語のタイプライター。保存状態は良くしっかりとジャワ語が刻まれたキーが珍しいものです。かつて歴史を動かすような文書や書簡がこれで作成されいたのかも知れないと思うと果てしない妄想が広がります。館内には一般人も閲覧できる書籍コーナーと鍵のかかった研究室風の図書室もあり重々しい雰囲気を醸し出していました。
 展示室を通過し裏手の半屋外に出ると石像や石碑の類が並んでいます。簡易的な屋根や柵はあるものの温度管理もなく風雨にさらされるような環境に原型を留めないような石像、修復作業が中断されたような「何か」など、年代も出どころも不明なまま。その放置されや様子はまるで日本の野山の思いがけないところでひょっこり出会うお地蔵様のよう。どこかで発見されここに運ばれてきたこれらの石像たちがこの場所で幸せな余生を送りこの場所を守ってくれている事を願って止みません。
 ジャカルタの国立博物館をはじめ、多くのインドネシアの博物館や美術館ではデジタル技術や映像を使ったより現代的な展示方法に移行しています。かつてインドネシアでは博物館や美術館から貴重なお宝が盗まれ展示室が空っぽになってしまったこともあるという事を聞いたこともあります。実際、ラドヤ・プスタカ博物館にも何も入っていないガラスケースがいくつかあります。だからこそ、時代遅れかも知れないアナログな方法でなにはともあれ現物を見られる博物館は希少価値になりつつあります。歴史はロマン。実物だからこそ放つオーラや質感、色のくすみ具合や破損具合は肉眼でしか得られない情報です。そうした現在の状態も含めひとつひとつの物たちが乗り越えてきたストーリーを思い描いて未来へ残していく…そんな小さな力になるために古い博物館を訪れてみてもいいのかも知れません。皆様もぜひいかがでしょうか。(水柿その子・写真も)

◇この記事へのお問い合わせ
メール sonokomizugaki@gmail.com

おすすめ観光情報 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

クナパくんとブギニ先生NEW

私のじゃかるた時代NEW

編集長の1枚NEW

キャッチアイ おすすめニュースNEW

インドネシア企業名鑑NEW

マサシッ⁉

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

有料版PDF

修郎先生の事件簿

メラプティ

子育て相談

これで納得税務相談

おすすめ観光情報

為替経済Weekly