「天空の農園」が誘う旅心 コーヒー革命の聖地へ タナ・トラジャ

 トラジャ・コーヒーの生産地として知られるスラウェシ島のタナ・トラジャは、標高1千メートルを超える高地にある。涼風が抜ける桃源郷を行けば、見えてくるのは伝統家屋のトンコナン。コロナ収束後という前提付きだが、「天空の農園」が旅心を誘う。

■行き方
 ジャカルタからスラウェシ島へは、マカッサル(旧ウジュン・パンダン)から入るのが便利だろう。国内線で約2時間半のフライトになる。
 問題はここからだ。マカッサルからタナ・トラジャを歩く拠点、ランテパオに近いポンティク空港まで、空路で結ばれて1時間ほどで行けるようになった。
 だが、秘境を行く旅だからこそ、大自然を堪能する陸路が楽しい。時間的な余裕があれば長距離バスやタクシーのチャーターを視野に入れたい。所要時間はバスなら8時間ほど。山道なのでハイラックスなどトルクの大きな車と道路事情に慣れた運転手が見つかれば4時間を切る。300キロ強の道のりだ。

■港町で海鮮三昧
 マカッサル~ランテパオ間はほぼ一本道となるが、その中間地点となる港町、パレパレは海鮮料理の宝庫。特に中華料理は絶品がそろう。
 パレパレで腹ごしらえをしたら、ここからは上りのワインディングロードが続く。やがて右手に見えてくるのは、スラウェシ島の最高峰というラティモジョン山(3478メートル)。道沿いにコーヒーショップなどもあり、一息入れるのもいい。高原の風が心地よく、遠望する奇岩が旅気分を盛り上げてくれる。

■「天空の農園」
 タナ・トラジャにおける観光拠点として栄えたランテパオ。旅行者にはベースキャンプ的な存在になるだろう。宿泊施設は様々な選択肢があるが、トンコナンに宿泊することもできるから、ホテル選びは慎重にしたい。
 観光の目玉は、先住民となるトラジャ族が伝える「死のために生きる」という死生観かもしれない。ランテパオ郊外にあるケテケス村は、典型的な集落景観が残っており、足を運んでみたい。トンコナンの内覧も可能だ。
 裏手に回れば断崖に横穴を開けた岩窟墓がある。タウタウ人形に見守られた頭蓋骨が並び、朽ちた棺桶が安置されており、土着のアミニズムに触れることができる。

■コーヒー革命への挑戦
 コーヒーの聖地、トラジャは今、実は大きな岐路に立たされている。気候変動がコーヒーの栽培環境を直撃、収穫に影響を与えているからだ。持続可能なコーヒー生産を目指す国際研究機関、ワールド・コーヒー・リサーチ(WCR、本部・米テキサス州)は、「今後30年で生育可能な耕地の半減もあり得る」と警鐘を鳴らす。
 これを踏まえ、トラジャコーヒーを世界ブランドに育てたキーコーヒーは、WCR、そしてインドネシア・コーヒー・カカオ研究所と連携。自社農園内の実験圃場で技術開発に動き出している。気候変動や病害虫に耐性を持ちながら、コーヒーの味わいを備えた品種を発掘するためだ。
 トラジャから始まるコーヒー革命——。桃源郷の風景を独り占めしながら、次世代のコーヒーに夢を膨らませ、世界に誇るべき一杯を飲むのもまた格別な味わいがある。(長谷川周人、写真も)

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