【じゃらんじゃらん特集】 巨匠画家の筆致 アファンディ美術館  ジョクジャカルタ

 美術愛好家としても知られたスカルノ初代大統領に協力し、インドネシア美術界の基盤を築いた印象派画家のアファンディ氏。ジョクジャカルタにあるアファンディ美術館では、インドや欧州の美術学校で学び、日本などでも個展を開いた巨匠の足跡をたどることができる。
 ジョクジャのアディスチプト空港から約10分。市街地に向かう大通り沿いにそびえる異形の建物が目に入る。樹木に覆われた入り口を抜けると、半円の建物や屋外カフェが姿を現す。最初のギャラリーが建てられたのは1962年。以来、広大な敷地に建物を増設し続け、現時点でギャラリーは三つ。「アートの街」ジョクジャの観光名所でもある。
 ギャラリー1号館は、アファンディ氏の作品50点を年代順に並べ、作風の変化をたどる。繊細な水彩画に始まり、画材が足りなかった時代を感じさせる粗末なキャンバスの上に描かれる母親像、花火のように飛び散る往年の自画像が掛けられ、灰色の建物から想像つかない色鮮やかな世界が広がる。
 オランダ植民地時代、映画のポスターなどを制作。日本軍政期には、スカルノ氏やハッタ氏ら後に国家建設の中心人物となる指導者と国民労働センターを設立、対オランダの独立戦争では愛国心を鼓舞するポスターも手掛けた。絵の具を指に付けて描くなど、斬新な画風でインドネシアの美術界に不動の地位を築いた。70年、大阪万博に参加、80年には福岡で個展を開くなど、日本との関係も深い。
 美術館の至るところに、自転車やパイプなどアファンディ氏の愛用品が展示されている。中心に位置する「アファンディ・ハウス」もその一つ。竹と木で作られた狭い階段を登っていくと、当時のまま残されている寝室にたどり着く。中に入ることはできないが、アファンディ氏が毎日見ていただろうガジャ・ウォン川や、ジョクジャの町並みを見渡すことができる。

■絵画教室も併設
 絵画教室「ガジャ・ウォン・スタジオ」も併設。アファンディ氏の娘であるカルティカ氏から直接指導を受けることもできる。巨匠が過ごした場所で自らの才能を開花させようと、スマラン、ソロなどの遠方の都市から来るという生徒もいるという。観光客向け・修学旅行向けのプログラムもある。
 美術館では、アファンディ氏の肖像画や作品をプリントした絵はがき、Tシャツ、トートバッグ、作品集なども販売している。

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