幻のトンネルに歓声 東ジャワ州ジュンブル どこまでも続くタバコ畑

 夏休み、家族旅行、毎日の通勤…。「鉄道」にまつわる思い出やエピソードは人それぞれでも、「線路」「駅」「鉄道の旅」、こんな言葉に胸がキュンとしたら立派な鉄男・鉄子です。今回のおすすめ観光情報は前回のつづき。夜のとばりが明け始めたバニュワンギ・バル駅からレトロ感満載の「エコノミークラス」の列車に乗って東ジャワの鉄道が語る歴史紀行に出発です。

 目指すのはジュンブル駅。東ジャワ州バニュワンギ県に隣接するジュンブル県ジュンブル市の中心駅です。実は夜行列車でも停車した駅なのですが、あえて折り返すのは「鉄道でジャワ島の最東端バニュワンギの最終駅まで行く!」という大ミッションのため。そして、山間の鉄道ならではの醍醐味、夜行列車では暗くて眠くて実感しづらかった、あるトンネルを抜けるのを確認するため。流れる景色を目で追いながら達成感に浸っているとジュンブル駅に到着です。
 ジュンブルはオランダ統治時代から世界有数のタバコの葉の生産地として知られています。広大なタバコ畑と収穫後の黄金色に輝く天干しタバコの葉のじゅうたん。さながらミレーの「落穂拾い」のようなその光景はインドネシア経済の一端を担うタバコ生産地の姿、一見の価値があります。
 また、近年さかんに行われているのが枝豆の生産加工。ジュンブル産の冷凍枝豆は日本をはじめ海外にも輸出されているお墨付きの高品質。インドネシア国内の飲食店でも提供されているので皆さまもきっと口にしたことがあるでしょう。お土産店は枝豆スナックや枝豆パイなどの名産品も充実していて旅のお供やお土産調達も楽しみです。
 そして観光のハイライト。進むは繰り返し通ったあのトンネルです。山々が連なるこの地に鉄道が建設されたのは1900年代初頭。タバコ、コーヒーなどの大規模農園から主要港への運搬と軍事的な目的もあったことでしょう。道路も発達し鉄道の役割も様変わりした現在、歴史あるトンネルも地元の乗客にはただのトンネル。ですがインドネシアでは鉄道トンネルは珍しく、趣のある存在が一部の鉄道マニアの間で話題となり、ツウだけが知る幻のトンネルと評判なのです。
 はるばるやってきた山奥、木々の間に幻の姿を発見したときに思わず上がった歓声。日本では線路の侵入は禁止、インドネシアでも都市部では相当厳しくなっていますが、ここは「トンネルの観光地」と認定されていて、立ち入りも写真撮影も自由です(ただし安全管理は自己責任で)。
100歳を超えるトンネル。その歴史の中でどれだけの人を繋ぎ、どんな思いを包み込んできたのでしょう。心はすっかり開拓者。セピア色が似合うビンテージ風の装いで、古い映画のワンシーンのような写真撮影をしたくなります。
 鉄道があるところに歴史があります。歴史があるところにドラマがあります。鉄道は人を動かし物を運び時代を超えるもの。皆さまもレールと古いトンネルが語る東ジャワ、ジュンブルの物語に耳を傾けてみませんか。(日本旅行インドネシア、水柿その子、写真・イラストも)

◇日本旅行インドネシア
PT. JABATO INTERNATIONAL
電話 021・520・2091
メール sonoko_mizugaki@ina.toray.co.id

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