【じゃらんじゃらん特集】 アラブのリズムに揺れ 全身で女性の美を表現

 アップテンポからスローテンポと多様に変わるアラブ音楽。躍動感あおる打楽器に合わせ、腹を小刻みに揺らす。テーブルの間を練り歩いていくと、歓喜の声が上がる。観客もダンサーの輪に入り、会場の熱気は最高潮に達した。
 ダンスの動きは多種多様。手のひらや腹の筋肉による上下左右斜めの動き、かかとを上げて爪先立ちなど、日常使わない動きを取り込んだステップを踏む。ベリー(腹部)を中心とした全身運動だ。
 恋や愛の情感を表現するバラディーなど、約5分ごとに変化していく音楽に合わせて踊るオリエンタル。髪の毛を激しく振り乱すハリージ。ベリーダンスとして一般的に知られる中東生まれの民族舞踊は、多様なダンスを織り交ぜて観客を楽しませるショーでもある。

■イで先駆けに
 世界最大のムスリム人口を抱えるインドネシアだが、中東起源のベリーダンスはアラブ系コミュニティを除いて浸透していない。
 ベリーダンス教室「ベリーダンス・ジャカルタ」を主宰するクリスティン・ヤフェンさんは「本格的に学べる場所はほとんどなかった」と話す。
 豪州留学中にベリーダンスと出合い、帰国後の2006年にジャカルタで教室を開講。さらに海外に渡り、本場エジプトの巨匠マフムード・レダ氏や米国のスーパースター、タマリン・ダラル氏から直接学び、自己研さんに励んできた。
 「セクシーなダンス」のイメージが先行するが、「観客に体を見せ付けるのが、ベリーダンスではない」とクリスティンさん。手で頬を覆って足を閉ざすなどして恥ずかしさを表現したり、腕を広げて観客に近づいていくことで激しい愛を表現したり。「女性誰もが持つ奥ゆかしさを表現できる」と強調する。
 開講から6年。普及の勢いは増し、ジャカルタには現在、40以上のベリーダンス教室がある。ベリーダンス・ジャカルタの公演頻度も、以前は3カ月に1回ほどだったのが2回へと急増した。高級ホテルやレストラン、ムスリムの結婚式、企業のイベントに呼ばれ、外国人や中間層の客を前に披露するようになったという。

■OLからダンサー
 11年7月には、日本人のプロのベリーダンサー、ミサコ・リハーンさんが日本語クラスを開講。ジャカルタ在住の日本人も学びやすくなった。
 リハーンさんは、小松アラビア舞踏団で12年の経験を積んできたベテラン。3歳からクラシックバレエ、モダンバレエを学び、会社勤めを経て、大好きな映画「007」に登場するベリーダンスをやってみようと決意した。
 日本ではパキスタンやトルコ料理のレストラン、ホテルのホールなど、東京を中心に各地で公演。エジプトの巨匠からも直接指導を受けてきた本格派だ。
 「観客の目の前でステップを踏んで腰を小刻みに揺らすと、拍手が一気に沸き起こる」。観客の反応に応じて即興でステップなどの動きを変えながら、全身で女性の美を表現するスリル感。リハーンさんは「まずは気軽にやってみてほしい」と話している。

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