エコ、石油、歴史、カニ… さまざまな顔を見せる街

 東カリマンタン州の州都、人口約70万人のバリックパパン。広大なカリマンタン島の奥地・離島への旅の拠点や乗継地として訪問されることは多いのですが、多様な別名を持つバリックパパンはインドネシアの歴史や経済を知る上でとても重要な街です。今回のおすすめ観光情報は乗り継ぎ時間や日帰りでも楽しめるバリックパパンを紹介します。

 バリックパパンと言えば近年注目されている「エコの街」。その最たる例は街の玄関口、スルタン・アジ・ムハンマド・スレイマン・スピンガン国際空港です。
 外気を循環させることで冷房を控える全体構造、自然光を最大限取り入れる吹き抜け、水のリサイクル設備など省エネで自然に優しいコンセプトは利便性やサービスなども含めた総合評価でことし、国際空港評議会より中規模クラスの空港部門で世界2位の格付けを受けました。
 また、市内の大手コンビニではビニール袋は配布しておらず、買物客はマイバックを持参するのが日常。自然保護に取り組む街らしく、市内や近郊に残された原生林やマングローブの森にはデングザルなどの野生動物が生息し、まさに自然の大オーケストラというべき鳥や虫の鳴き声に癒やされます。
 有名なバリックパパンの顔なら「石油の街」。海岸線にはスポーツドームのような石油タンクが延々と続いています。遠く精製工場の長い煙突からボッボッと赤い炎が立ち上る様子は迫力満点です。街は石油関連の仕事に従事している人たちが多く、品の良い高台の高級住宅地では住民たちが健康的にジョギングをする姿も見られます。
 石油発見以前のバリックパパンは「ブギス人の街」と呼ばれていました。もとはスラウェシ島の農業民族だったブギス族が他島へ移住してきたのは17世紀のオランダの侵略やインドネシア独立戦争などがきっかけだったという説があるそうです。彼らの水上集落は街の北部に今も残り、主に漁などで生計を営んでいます。急速な経済発展でいつ消えてしまうかわからない水上集落。姿を消してしまう前に記憶に留めておきたいバリックパパンの確かなひとつの顔です。
 私たちインドネシア在住の日本人にとっても「知らない」では済まされないのは「バリックパパン沖会戦の街」。現在でも海を望める丘の上に日本軍の大砲が残され管理されていて、すぐ横の空き地では子供たちが何事もないように遊んでいます。日本国内では見聞することも少なくなっている戦争の記憶。家族などであらためて平和とは何かなど話してみるいいきっかけになるかもしれません。
 最後に、旅の楽しみに欠かせないのが「カニの街」バリックパパン。実はこれが一番のお勧めです。肉厚でたっぷりの身が入ったバリックパパンの絶品カニ。お土産物でもカニ味のスナック菓子やカニフレークのアボンなど、街全体がカニ祭りのバリックパパン。ジャカルタからもふらっと行ける「カニ食べ行こう~」の旅で皆さまもお腹と心を満たしてください。(産経海外ファミリークラブジャカルタ、水柿その子、写真も)

◇インドネシアを知るバリックパパン「カニ食べ行こう~」ツアー
産経海外ファミリークラブジャカルタ
ASTRINDO TRAVEL SERVICES
電話 021・3907577
メール mizugaki@astrindotour.co.id
フェイスブック www.facebook.com/sankei.jakarta/

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