【じゃらんじゃらん特集】 竹の音色にうっとり バンドンの「竹の博物館」 オリジナル楽器も製作
インドネシアは竹の宝庫。多様な種類の竹が自生し、ユネスコの世界文化遺産に認定されたアンクルンなど竹製の伝統楽器も数多い。西ジャワ州バンドンには独自の竹製楽器を展示している竹の博物館「ムセウム・バンブー」があり、館内の工房で創意工夫を凝らしたバイオリン、ギター、トランペットなどを展示、製作している。
博物館はバンドン市街地西端の大通り沿いにある。民家を改築し、竹製の家具などともに多種多様な楽器、手工芸品が展示されている。どこを見ても竹製のものばかりだ。
「これは先日、ジャワジャズで演奏したときに使ったギターです」。アダン・ムヒディン館長は、竹の筒に細工を施し、弦を張ったギターを指さす。
博物館では学校を中退した子どもたちなどを迎え入れ、楽器演奏や製作を指導。昨年から公演活動を開始し、ジャカルタで今月開かれたジャワジャズでは、商業省を通じて参加を申し込み、初出演を果たしたという。
ライブで使用したのは、ギターだけでなく、ベースやバイオリン、チェロ、パーカッション、アルンバ(竹琴)、フルートなど。いずれもオリジナルの楽器だ。ギターのボディーは厚さ2ミリになるまで削っていく。共鳴胴を拡大し、ピックアップで音を拾いやすくするためだ。
子どもたちの指導にあたるのはユディ・ラフマットさん。「1970年代から竹製バイオリンを製造していたが、当時は誰も注目しなかった」と話す。
「台所用品や家具など、つい最近まで私たちは竹に囲まれて生活していた。最近、竹を再評価する動きが高まっており、アンクルンだけでなく、インドネシア独自の楽器として宣伝していきたい」
博物館を設立したのは、バンドン工科大(ITB)で美術を学んだアナン・スマルマ氏。日本やドイツなど、竹に関する国際会議にインドネシア代表として出席。現在は療養中だが、館内には各国から持ち帰った工芸品、竹で作った美術作品や竹をモチーフにした絵画が所狭しと並ぶ。
来月には、全国バンブーフェスティバルがバンドンのタマン・ブダヤ(文化公園)で開かれる予定で、地元自治体もバンドンを竹製楽器や手工芸品の一大拠点として発展させていく方針という。