【スナンスナン】肉料理を思う存分 バリ・スミニャック 炭火焼のサラゾン
レストラン激戦地のバリ島スミニャックにこのほど、また新しい店がオープンした。自家製ハム、ソーセージ、ドライエージ(乾燥熟成)の肉や魚を、レストラン内の窯で焼いた炭で調理する「サラゾン」だ。フルボディーの赤ワインを飲みながら濃い目の味付けの肉料理をがっつり食べたい人、一度お試しあれ。
スタッフがオープンキッチンの端に置かれた大きな窯の扉を開けて中から真っ赤に燃えた炭を取り出した。サラーム(インドネシアの月桂樹)、コーヒーの木、ココナツの殻を燃やしたものだ。これをオーブンの中に入れたグリルの下に敷くと調理が始まる。「炭火を使うことで肉がよりおいしく、香りよく焼き上がります。ガスは湯を沸かすのにしか使いません。また炭火の効果を生かすために、フライパンで肉を焼くことはありません」とマネジャーのヘルムートさんは話す。
レストラン一番奥のガラス張りのスペースには食べ頃を待つハムやソーセージ類がぶら下がっていた。熟成加工中の牛肉やラム肉、マグロや白身魚の大きな塊もあった。魚料理に引かれたが、周りの人が食べているのはもっぱら肉、肉、肉……ということで、ドライエージ・ビーフのタルタルステーキ(12万ルピア)と同じくドライエージのランプ肉ステーキを試した。
タルタルは強めの薬味とドライエージの効果だろうか、普通の生肉のそれとは触感も香りも異なり食べやすい。タルタルステーキに欠かせない卵の黄身はスモーク加工されており、のりを混ぜて焼いたクラッカーの上に乗せてあるのがサラゾンらしい。ランプ肉ステーキ(36万ルピア)はどこを食べても均一に柔らかく、臭みがなく、赤身肉の良さがドライエージでさらに増したようだった。
スコットランド系オーストラリア人シェフのポール・ルイスさんは、両国の食肉加工や調理の伝統をサラゾンの料理の中心に据えたかったそうだ。とはいえメニューを見ると、海草やターサイ、調味料には魚醤(ぎょしょう)や日本酒、チャツネを使ったものもあって、とても創作的だ。
食材はオーストラリア産牛肉を除いてすべて地元から仕入れたもの。豚肉はバリの契約農家から特別に飼育されたものを使っている。現在、営業時間は午後6時から翌午前0時までのディナーのみ。(北井香織、写真も)
◇SALAZÓN
住所 Jl. Kayu Aya, Seminyak, Bali
☎ 0878・6234・1240
0361・9342・100