【投資特集】 数人用「お任せを」 サービスオフィス業界が活況 中小企業進出の足場に 手続き支援や専門家紹介

 ジャカルタのサービスオフィス業界が好調だ。堅調な経済成長を続けるインドネシアへの注目が高まる中、世界各国からの中小企業の進出が加速。一人から十数人用の小、中規模の事務所を貸し出し、海外展開に向けた駐在員事務所の立ち上げや、進出に向けた長期調査を進める企業から好評を得ている。進出に必要な手続きの支援・代行のほか専門家や投資家への相談窓口としても機能。外国投資も増える中、活況は続きそうだ。(岡坂泰寛、写真も)

■ 地元企業の参入盛ん
 ジャカルタ中心部の目抜き通り、スディルマン通りの商業ビル「スミットマス2」。日系企業が多数入居する。入り口からビルに入ると「レンタルオフィス始めました」と書かれた看板が目に入った。インドネシアの地元企業「フォルティス」(本社・ジャカルタ)が今月開いたジャカルタで三カ所目の拠点。八百平米に二十一部屋(三―七人用)を設置し、オフィス中央には複写機やファクスを設置した事務スペースや冷蔵庫や飲み物を用意する簡易台所もある。
 海外からの投資が増え、企業進出が進む中、サービスオフィス業界に参入するインドネシアの地元企業が近年増えている。
 同社は二〇一〇年に商業ビル「セントラル・スナヤン2」で事業を開始。ロサリン・マヤパダ支配人は「近年、外国からの外資が順調に増え、従来のような広いスペースのオフィス以外の需要が増えた」と理由を明かす。年内に新たに四拠点目をジャカルタに開設する予定で、事業拡大へ意気込む。
 広報担当のアリさんは「一〇〇%インドネシア企業だからできるきめ細かいサービスの提供に力を入れている」と話す。外国企業の進出や法人設立には煩雑な手続きが必要な場面が多いが、地元企業ならではの豊富なノウハウを強みに、効率的かつコストを抑えた事業運営の支援を目指す。
 「マルキー」(本社・ジャカルタ)は二〇〇六年にスディルマン通りのマヤパダ・タワーに初めての拠点を開設。二〇一一年一月までに州内に五拠点を開設した。同年は全拠点でほぼ満室となる契約を獲得し、二〇一三年までにさらに三カ所を新設する予定だ。

■ イ拠点にアジア展開 
一九九七―九八年に発生したアジア通貨危機の最中にサービスオフィスをジャカルタに開業したインドネシア企業がある。韓国人女性のミ・キム・オーナーが所有する「CEO SUITE」(本社・ジャカルタ)だ。同社は、通貨危機は短期間で終わると予想。政治や経済の安定が進むにつれて外国からの企業進出が進むとみて、事業展開を急いだ。
 高級レンタルオフィスとして展開し、月の賃貸価格は二人部屋(約十二平米)で二千ドルから。ジャカルタでは三拠点を有する。顧客の約八割は、欧州や米国、豪州、日本を含むアジアなどの外国企業で、入居するインドネシア企業ではITや投資関係の業種が多い。
 海外への事業展開も進め、現在はタイや中国、韓国、マレーシア、シンガポールなどアジア七カ国に拠点を開設。主要国ごとに担当スタッフを配置。韓国企業や日本企業、欧州企業の進出状況の動向調査に力を入れている。
 アジアで事業展開するサービスオフィス企業がインドネシアに進出する例もある。
 「ザ・ノマド」(本社・マレーシア)は、シンガポールやタイなどアジア五カ国に拠点を開設。二〇〇八年の世界金融危機以降も高い経済成長率を維持しているインドネシアに進出したのは二〇一〇年だ。同社は現在、スティルマン通りのウィスマ・メトロポリタンにサービスオフィスを展開。二〇一四年までにジャカルタの三、四拠点まで増やす方針を打ち出している。

■ 質が問われる時代に
 マルキーのジョディー営業担当マネジャーは「近年では需要とともに同業者も増え、ビジネス支援の質の高さが問われる時代に突入した」と語った。
 レンタルオフィスを展開する業者の多くは、部屋の貸し出しやインターネット、電話の利用サービスだけではなく、法人設立や就労ビザの取得代行、人材採用の相談、店舗物件の相談などから、来客へのお茶出しや清掃代行など、広くビジネス支援を展開している。
 今後、業界への参入が進むにつれて生き残りのポイントとなってくるのが、それぞれのサービスの質の向上だ。ジャカルタでは渋滞が悪化する一途で、将来を見据えた開設拠点の立地もポイントになりそうだ。

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