【投資特集】 情報収集に苦労する中小企業 ネットワーク構築を手助け SMEJ連合会

 日本からの進出後も、大企業と比べ情報が不足しがちな中小企業の経営者の間でのネットワークを広げようと二〇〇〇年五月に発足した中小企業(SMEJ)連合会。会費はなく、会員数は三百社弱。メーリングリストでビジネス情報を流すほか、日本貿易振興機構(ジェトロ)の支援を受け、セミナーを共催するなどの活動を行っている。
 昨年七月には、インドネシア経営者協会(アピンド)との間で協力関係構築の覚書を締結。地場企業との連携を一層強化し、情報やノウハウの共有のほか、技術提携や進出検討企業の現地パートナー探しなどに取り組んでいく方針だ。
 発足時から現在まで初代会長を務めるのは、白石康信さん(七二、新生電子インドネシア社相談役)。インドネシア在住歴が三十年に渡り、その間、現地法人七社の設立に関わってきた大ベテラン。
 大手電機メーカーの駐在員として一九八二年に来イし、定年退職を機に中小企業に活動の軸足を移し、大企業も中小企業も熟知する白石さんは、最近の対インドネシア投資について、「今までにない勢い。毎日のように日本のどこかの団体が来ているような状況。どれくらいが実際に投資をするのかは分からないが、感覚的には毎月二十社前後が投資調整庁に申請手続きをしているのではないか」と印象を語る。
 一方、進出に当たり、注意すべきこととして、「あくまでもよその国に来て商売をさせてもらう」という姿勢が大前提と強調する。「基本は共存共栄の精神。インドネシアと一緒に成長していくという気持ちが不可欠」と白石さん。
 経営においては、まず、「経営者と資本家の責任と権限の範囲を明確にすべき。資本家は思いきって経営者に任せないといけない」と力を込める。
 現地法人の経営者の人選では、「『製造が分かるから社長に』というのが一番危険」という。数年前に、生産性を上げようとラジオ生産のラインを立位に変えたことから労働問題に発展し、撤退に追い込まれた電機メーカーの例を引き合いに出し、「その地域に合った経営戦略や戦術を立てる必要がある。日本のやり方が必ず通用するとは限らない」と指摘する。
 イスラムとの付き合いにおいても、一日五回のお祈りに合わせないように会議の時間を調整する、ジルバブ(スカーフ)の着用は安全上問題がある場合には、はみ出ている部分を服の中に入れさせるようにする、といった配慮も不可欠。
 また、会社の利益をきちんと従業員に還元することが大事だと説く。「現地法人の社長が現地社員を守らなければ誰が守るのか。インドネシアの人は日本人の背中をよく見ている。日本ばかりを見て、イエスマンになってはいけない」というのが白石さんの持論だ。

特別企画 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問NEW

ぶらり  インドネシアNEW

有料版PDFNEW

「探訪」

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

今日は心の日曜日

インドネシア人記者の目

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

スナン・スナン

お知らせ

JJC理事会

修郎先生の事件簿

これで納得税務相談

不思議インドネシア

おすすめ観光情報

為替経済Weekly