【モーターショー特集】 各社がしのぎ削る(3)


◇家族向けMPV発表−マツダ

 マツダ・モーター・インドネシア(MMI)社はモーターショー1日目の20日、8人乗りミニバン「ビアンテ」を発表し、計9台を1315平方メートルのブースで披露した。
 中型MPV(多目的車)のビアンテは、日本以外で初の海外投入。価格はジャカルタ・オンザロードで、3億8千万ルピア(約311万円)。MMI社の奥江敬三社長は「もっとも成長する家族向けMPV市場で、インドネシアの家族で使用する顧客に快適さを届けたい」としている。
 家族の利用を狙う同車は、室内幅1545ミリメートル、室内長2990ミリメートル、室内高1350ミリメートル。用途に応じて、2列目、3列目のシートを前後にスライドでき、リムジン感覚も味わえる。
 マツダ本社の藤原清志執行役員は、同社が主に狙う中級以上のセグメントについて、「インドネシアも過去の日本と同じように、大きな車を求める傾向が出てきている」とし、「家族7、8人が乗った車でショッピングモールに乗りつけるように、大家族で動くニーズが増えてきている」と経緯を話す。

◇新SUV「XV」公開−スバル

 富士重工が展開する自動車ブランドであるスバルは、メイン車種の一つとして小型スポーツ多目的車(SUV)の新型クロスオーバー「スバルXV」を展示した。マレーシアで来年1月から量産化を行う見込みで、インドネシアでの販売もその後順次進めていく。同日から販売受付を開始した。
 XVは、街中での走行を意識した都会的なデザインや重心を低くするなど運動性能を重視したことが特徴。衝突安全性能を向上し、燃費も従来より改善した。インドネシアでの販売価格は、「スバルXV2.0i」が3億3800万ルピア(約276万円)、「スバルXV2.0iプレミウム」が3億5900万ルピア(約293万円)。
 ブースでは、トヨタ自動車と共同開発した新型スポーツカー「BRZ」、小型車部門では日本で昨年12月に販売を開始した「インプレッサ「2.0i―S」も展示のメイン車種に設定した。
 インドネシアでのスバル車の販売台数は年間200台ほど。富士重工本社の高田充専務執行役員(スバル海外第二営業本部長)は今後の販売拡張に意欲を示した上で、「インドネシアにおいてスバルブランドの存在感はまだなきに等しい。今回のモーターショーを認知の足がかりにしたい」と語った。

◇新フォーカスに注力−フォード
 米系フォード・モーター・インドネシア社は、セダン・タイプ、ハッチバック・タイプ「フォーカス」のフルチェンジ・モデルを発表した。
 新エンジンを搭載することで、馬力を20%、燃費を10%向上させた。
 販売価格帯は3億2490万−3億6900万ルピア(約265万−300万円)。1.6リッターエンジンのオートマチックタイプでは、セダンで4ドア、ハッチバックで5ドアがある。
 2.0リッターのオートマチックでは、ハッチバック・スポーツと、セダン・チタニウムの種類をそろえた。 
 FMI社のバグース・スサント・マネージング・ディレクターは「インドネシアは、ASEAN(東南アジア諸国連合)で一番規模が大きい自動車市場で、堅調な成長を続けている。今年は、フォードとして過去最大規模の展示スペースを確保した」と語った。

◇「ナノ」アピール−タタ自動車

 インドネシア市場への参入を目指すインドのタタ自動車は、インドネシアのモーターショーへの出展は今年が初めてになる。
 現地法人タタ・モーター・インドネシア社のビスワデフ・セングプタ社長は「インドネシアでのタタ自動車商品には大きな可能性がある。インドでの需要と非常に近いものがあると感じている」と、来年の商業生産開始に向けて期待をみせた。
 ブースでは、低価格で4人乗りのコンパクトカー「ナノ」を屋内外に置いてアピール。小型の乗用車から、商用ではバス・トラックまでの幅広いラインナップで「総合自動車メーカーのタタ・ブランド」を売り込んでいる。
 屋内では、スポーツ多目的車(SUV)「アリア」、ハッチバックの「インディカ・ビスタ」、小型トラックの「エース」、ピックアップトラックの「ゼノン」、マイクロバスの「ベンチャー」などタタが持つ豊富な車種をインドネシアで初披露した。

◇SUVで新モデル−ヒュンダイ
 韓国系のヒュンダイ(現代)・モービル・インドネシア社は「モダン・プレミアム」をテーマに、ホールAに設けた600平米超のスペースでグランド・アベガやソナタ、H―1など8台の車を展示している。
 初日には、SUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)部門で、サンタフェの3代目となるフルモデルチェンジ・モデルやツーソンXGを発表。ホールCには、別スペースを設け、タクシーのホワイトホースや近郊都市へのシャトルバス運営のチパガンティなどで使用しているヒュンダイ車を展示し、存在感をアピールしている。
 ヨンキー・スギアント社長は「高級SUV部門では競争が一層激しくなるが、サンタフェはデザインや機能性、それに見合った価格で、市民に受け入れられると確信している」と強調。首都圏を中心に月75台を販売目標に掲げた。

◇高級さ売りに−メルセデス・ベンツ

 メルセデス・ベンツ・インドネシア社は、ロードスターの新型「SL350」、Gクラス(ゲレンデヴァーゲン)の新モデル、セダン型の大型高級乗用車シリーズの「CLS」シューティング・ブレイクを公開した。
 そのほかに、小型ハッチバック車のB200、クロスオーバーSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)のML350、セダン型のE300アバンギャルド、ステーションワゴンのC250アバンギャルドなど、672平米のスペースに計8台を展示。
 同社のステファン・モビウス販売マーケティング担当取締役は「SL350は全国のスポーツ車愛好家の心をつかむだろう。均整のとれた体格で、筋肉もあり素早く動くことができる人間のようなもの。ボディに軽量アルミを用い、従来より120キログラム軽くなり、燃費も29%向上した」と説明した。

◇特別仕様車も紹介−ミニ
 BMW傘下のミニ・ブランドは、昨年初出展し、今年で2回目。250平米のスペースに4台を展示している。メインの車種は、特別仕様車の「ベイズウォーター」と「カブリオレ・ハイゲート」。両車種ともロンドンの地名にちなんで名付けた。
 「ベイズウォーター」は、「クーパー」と「クーパーS」をベースにした車両を採用している。ボンネットには、青と灰色のスポーツストライブをペイントした。内装には、ステンレス製のペダルや革製の座席を取り入れ、スポーティーなつくりとなっている。ルーフ部分やミラーは、ユニオン・フラッグなどのデザインにカスタマイズでき「数百万通りありオリジナリティが出せるのが強み」という。
 「カブリオレ・ハイゲート」は、4人乗り。高級感のある革製シートなど、クラシックな印象で内装をまとめている。

◇SRTブランド発表−クライスラー
 米クライスラー系のブランドの自動車を販売するガランシンド・イントゥル・グローバル社は、SRTブランドをインドネシアで立ち上げ、SRTから2車種、クライスラーブランドから1車種をインドネシアで初公開した。
 クライスラー・インドネシア社のジェラス・リエヴァ・ムフシン・マーケティング責任者は「SRTは快適で、魅力的なブランドであり、クライスラーの高性能さを示すシンボルである」と、ブランドの浸透に期待を込めた。
 SRTブランドから、スポーツ多目的車(SUV)の「ジープ・グランド・チェロキーSRT8」を展示。排気量6400ccで4気筒で、4輪駆動で470馬力を持つ。
 高級セダンの「クライスラー300C・SRT」は、6400ccで、472馬力。

◇環境配慮型モデル−プジョー
 アストラ・インターナショナル・プジョー(AIP)社はハッチバックの「208」を発表した。リアバンパーに100%リサイクル素材を用いるなど、樹脂素材の工夫で環境に配慮したモデルを今モーターショーの中核に据えた。
 208はコンパクトハッチ「207」の後継車種。今年3月に欧州で発表された同モデルは、すでに10万台の予約を受けたという。インドネシアでは来年の第1四半期中に販売を開始するとしている。価格は未発表。
 欧州債務危機の影響で消費が冷え込んだ欧州市場。同社によると、今年上半期の欧州でのシェアは昨年下半期から0.2%引き上げたが、今後は急速に拡大するアジアや南米、ロシアでの販売にも注力する。インドネシアでは今年、東カリマンタン州バリックパパンや南スラウェシ州マカッサルなどに販売店を設置し、市場への浸透を図る。

◇スピンで攻勢−シボレー

 インドネシアでシボレーの販売を行うゼネラルモーター(GM)インドネシア社は、13台を展示している。
 注目はインドネシアにおける主力セグメントに投入する予定のMPV(多目的車)「スピン」。来年初めに西ジャワ州ブカシで生産を始め、年間4万台を生産する予定という。国内だけでなく、東南アジア地域などへの輸出も行う計画で、製造・販売の両面でインドネシア事業に本腰を入れて取り組んでいく姿勢を鮮明にしている。
 そのほかにも、コンパクトカーのアベオなどを発表した。排気量1400ccのアベオは、プラットフォームを刷新し、操縦性などを向上。販売価格帯は1億6850万―1億9380万ルピア(約138万―159万円)で、スパークと合わせ、近年、需要が伸びている小型ハッチバック分野で攻勢をかけていく方針だ。

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