【人と世界/manusia dan dunia】 旅で学ぶ文化と歴史 インドネシアを楽しむ会  春節に70人が参拝

 イムレック(中国正月、春節)の23日、華人街グロドック最古の中国寺院「金徳院」で大勢の華人と入り混じって日本人のグループが参拝した。胸には名札を付け、線香の煙が立ち込める本堂で手を合わせた。
 グループはインドネシアで国内旅行などを行う「インドネシアを楽しむ会」の参加者。毎年イムレックに金徳院を参拝するツアーを実施し、今年はこれまでで最多の約70人が参加した。
 会を率いているのは世話役の斉藤亘央さん(74)。2003年ごろから旅行好きの邦人が集まり活動を開始した同会の唯一の初期メンバー。ツアーの企画から乗り物の手配、添乗員のようなアテンド役まですべて1人でこなす。
 この日は朝から夕方まで中国寺院のほかに、旧市街(コタ・トゥア)にある19世紀に作られた船の見張り塔、海事博物館、ジャカルタ最古の教会、17世紀に作られた跳ね橋など10カ所以上を見て回った。大所帯のため移動用の観光バスは2台用意された。
 初参加の菅井亮さんはジャカルタ駐在2回目。9年間に及んだ一度目の駐在時はほとんど国内旅行をせず、帰国後に後悔したという。「個人では中々行けないところが多い。ツアーに参加できてよかった」と満足した様子だ。

■資料は百科事典の厚さ
 北スマトラ州トバ湖、南スラウェシ州タナ・トラジャ、カリマンタン島のマハカム川流域、東ヌサトゥンガラ州のフローレス島、コモド島、西ジャワ州ガルット、バンテン州ウジュンクーロン国立公園、独自の伝統信仰を守るバンテン州のバドゥイ族の村など、全国の名所のツアーを行った。インドネシア各州の文化や建造物を集めた東ジャカルタのタマン・ミニ・インドネシア・インダ(TMII)で開かれる各州・県の舞踊劇にも招かれ、毎年多くのイベントに参加している。
 斉藤さんは旅行前に必ず訪問予定地に関する資料を作成し、冊子にして配っている。旅の行程表や地図、雑誌や新聞などの切抜き、本で調べた旅行先の文化や歴史を掲載する。泊りがけの旅行の資料は百科事典のように分厚い。

■帰国後も思い馳せる
 斉藤さんの本業は車や建物のガラスに張る安全フィルムの販売。米マディコ社製のフィルムをインドネシアで代理販売する企業のアドバイザーを務めているが、本業を知らない人も多いという。「楽しむ会に半年いる人から斉藤さんの仕事ってなんだっけと聞かれることがあるほどです」
 丸紅出身で1993年から定年になる98年まで丸紅出資のリース会社の副社長として駐在。毎週出張で忙しく地方を飛び回っていたが、地方に行っても仕事ばかり。旅行への思いはこのときから募っていった。
 オフィスの本棚にはインドネシア関連の本に加え、自家製の資料も所狭しと並べられている。資料作りはライフワーク。仕事の訪問先の企業のことをとことん調べることも。日系企業のインドネシア事業や県人会などの邦人コミュニティーの活動なども本のコピーや新聞、雑誌を切り抜いてまとめている。
 昨年8月末、東京で「インドネシアを楽しんだ会」と呼ばれる会の食事会が行われ、楽しむ会に参加したことのある元ジャカルタ在住者22人が集まった。帰国後もツアーの思い出を語り、インドネシアを懐かしんだ。
 「多様な民族と大自然。インドネシアはなかなか忘れられない」と斉藤さん。インドネシア旅行の一番の魅力は「不思議なことが次々に見つかること」と話す。「数千キロ離れた場所で文化や風習、家屋の建物などに共通点などがあったりして、いろいろと想像を巡らせます。それが一番楽しい」

特別企画 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問NEW

ぶらり  インドネシアNEW

有料版PDFNEW

「探訪」

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

今日は心の日曜日

インドネシア人記者の目

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

スナン・スナン

お知らせ

JJC理事会

修郎先生の事件簿

これで納得税務相談

不思議インドネシア

おすすめ観光情報

為替経済Weekly