【じゃらんじゃらん春節特集】 布袋戯・人形劇「ポテヒ」 後継者にジャワ人

 真っ赤な棚型の舞台の幕が開いた。飛び出てきたのは30センチほどの大きさの指人形。スポットライトを浴び、色とりどりの衣装を光らせながら、槍を振り回して戦闘を繰り広げる。横幅1メートルほどの舞台の裏からは、小太鼓や小鑼などの鳴り物が音が響き、終始劇を盛り上げる。
 西ジャカルタ・グロゴルのチプトラ・モールの中央ホール。中国福建省起源の人形劇、布袋戯(ポテヒ)が2月5日まで計25日間、連日上演されている。1日3、4回と公演数も多く、演目も毎回変わる。長大な中国の英雄伝を期間中に終える構成という。
 指人形を操るのは、東ジャワ州スラバヤ出身のスギヨ・ワルヨ(通称スブール)さん(四九)。スラバヤ市内で最も歴史のある中国寺院・鳳徳軒(ホン・ティック・ヒアン)が自宅前にあり、幼少時からポテヒに親しんできた。華人ではなく、生まれも育ちもスラバヤのジャワ人だ。
 中国文化を弾圧したスハルト政権下でポテヒを学んだ。「中国文化が全面的に弾圧されていたわけではない。寺院内と公演場所を制限され、華人以外は立ち入り禁止。トタンで寺院を囲んで外から見られないようにされたこともある」と語る。地元当局は公演前、演目の脚本提出を命じていたという。同政権崩壊から14年。2008年から毎年、イムレックに合わせてジャカルタで長期公演を実施。祝日以外でも地方の寺院などへの巡演も増えている。
 このグループのオーナーは、グス・ドゥル(アブドゥルラフマン・ワヒド元大統領)の故郷・東ジャワ州ジョンバンの実業家トニー・ハルソノ氏。ジャカルタ、スマランなど、かつて各地にいた人形師も激減したが、見応えのある伝統劇は着実に新しいファンを獲得している。

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