【じゃらんじゃらん】 ムクドリを救って! バリの固有種

 200ルピア・コインに刻まれた「ジャラック・バリ」(和名カンムリシロムク)はバリ島固有のムクドリだ。バリ州政府の公式マスコットとしてスポーツ大会などのキャラクターにもなっているが、開発による生息地の減少や密猟で数が減り続け、一時10羽以下まで落ち込んだと言われている。この純白の美しい野鳥を絶滅の危機から救おうと、ブガワン基金は1999年の設立以来、野生復帰に向けた繁殖を行っている。同基金がバドゥン県シバンで最近オープンした繁殖センターを訪ねた。(北井香織、写真も)


■後を絶たない密猟
 デンパサールから北へ40分、繁殖センターは在住外国人の子どもたちが多く通うグリーンスクールの敷地内にある。大きなケージの中の高い木の枝にカンムリシロムクが小さな群れになってとまっていた。真っ白な体に、目の周りの青色と羽の先端部の黒が映え、清楚ながら一際目立つ鳥だ。
 「この美しい姿ゆえに密猟が後を絶ちません。市場では一羽1500万ルピアで取引されているほど。自然界で珍しくなった野鳥や動物を飼うことが未だにステータスシンボルなんです」とセンターを管理するシャーリー・ヘルマワンさんは嘆く。
 ブガワン基金の「カンムリシロムク保存プロジェクト」は、まずバリ島の東沖に浮かぶヌサペニダ島で始まった。飼育で繁殖した鳥を、管理しやすい離島で野生復帰させ、現在、同島では約100羽のカンムリシロムクが飛び回っている。シャーリーさんによると、鳥を放つ前にヌサプニダ島のすべての村と話し合い、捕獲した者は厳しく取り締まることで合意したそうだ。

■4羽から75羽に
 ヌサプニダ島で成功した後、基金は昨年9月、同島で飼育されていた鳥をすべてバリ島に移し、現在の繁殖センターをオープンした。ここで生まれ育った鳥たちは、タバナンやムンジャンガンで野生復帰させる計画だ。現在、センターにはシンガポールやドイツの動物園から繁殖用に運ばれたものを含め、全部で75羽がいる。
 12年前、わずか2組のつがいから繁殖を開始した基金の功績は今やインドネシア政府にも認められ、カンムリシロムクの認知度が高まる大きなきっかけとなった。
 ケージの中でなく、トレッキングの途中でカンムリシロムクに出会えたらどんなに素晴らしいことだろう。

◇カンムリシロムク
 全長25センチメートル。ムクドリの仲間としては比較的大型。頭部の羽毛が伸びて冠のようになっており、目の周りは鮮やかな青い皮膚が裸出している。全身の羽衣は白だが、風切羽の先端部と尾の先端部は黒。ワシントン条約やインドネシア政府により希少動物として保護されている。

◇ブガワン基金の繁殖センター
住所:グリーンスクール内、 Jl. Raya Banjar Saren, Abiansemal, Badung, Bali
電話:0361-9001325
ウェブサイト:www.begawanfoundation.org

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