【スナンスナン】 洪水・水道水に注意 雨期に気をつけたい感染症(下)

 雨期にたびたび発生する洪水。水の汚染が心配される水害時に気をつけたいのが、細菌が皮膚から入る「レプトスピラ症」と飲食物から経口感染する「アメーバ赤痢」などの病気だ。

■皮膚から感染
<レプトスピラ症>
 近年洪水時に政府が注意を呼びかけているのが「レプトスピラ症」。SOSメディカクリニックでの日本人の発症例はまだないというが、同院のジョハン医師は、洪水時に最も注意が必要だと警告する。
 「ネズミなどの動物の尿で汚染された川の水が体内に入ると、レプトスピラ症になります」
 汚染された水の中を歩かざるを得ない場合は注意が必要だ。足にけがをしている時に素足で水中に入ると、傷口から菌が体内に入るケースも。2日〜4週間の潜伏期間で発症する。
症状は2段階

 初めは高熱、頭痛、寒気など風邪のような症状が特徴で、自然に熱が下がりよくなることが多い。ところが1〜2週間後、遅い場合は1年後にフェーズ2がやってくる。菌が体内に入って重症化すると、脳まで到達して髄膜炎になったり、肝臓に入って黄疸(おうだん)や肝炎を引き起こす恐れもある。洪水時はもちろんだが、水泳やカヤック、ラフティングなどのレジャーでも気を付けたい。

■飲食物から感染
 ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)医療相談室の伊藤通敏医師は「患者の3割は下痢や嘔吐(おうと)などの消化器感染症の症状」と話す。1年中ある病気だが、雨期は水道水も汚染される可能性が高まり、飲食物による経口感染に注意が必要だ。
<アメーバ赤痢>
 原虫である赤痢アメーバは、人間の体内にいる。感染者の便などで汚染された飲食物が体内に入ると発症し、下痢の症状を引き起こす。「イチゴゼリー状の粘血便が特徴的です」(伊藤医師)。
 下痢だけで2、3日で自然に治る場合と、腸炎になり高熱、頭痛、吐き気などの症状を伴う場合があるという。1日10〜20回の激しい下痢や、血便が出ることもある。8割は自然に治るが、半年〜1年後に菌が肝臓や肺、脳へと入り重症化することもある。
<細菌性赤痢>
 サルモネラ菌が原因で発熱、腹痛、寒気、下痢などの症状を食後12〜72時間後に発症、4〜7日ほど続く。症状は慢性化せず自然に治るが、脱水症状にならないよう水分をたくさんとるか、点滴を打つようにする。
<腸チフス>
 高熱、頭痛、下痢か便秘の症状が出る。熱がゆっくりと上がるのが特徴的。ワクチンで予防できるため、よく外食をする人は予防接種を。1回で3年もち、抗体を持っていると症状が軽くすむ。
<A型肝炎>
 腸チフスと似ているが、吐き気や黄疸(おうだん)の症状がある。尿が茶色っぽくなることも。ワクチンで予防でき、予防接種を勧める。

■水道水の使用は控えて
 歯磨きには湯冷ましやミネラルウオーターの使用が好ましい。サラダなどの生ものは、屋台などは避けて、できれば自分で調理するように。野菜を洗うときも、最後は湯冷ましやミネラルウオーターで洗い流す。

■健康管理と早めの対処
 いずれの場合も伊藤医師は「暴飲暴食を避け、バランスの良い食事と睡眠を取ること」と健康管理の大切さを訴える。
 ジョハン医師は「血液検査や便検査でわかる病気もある。病気は自己判断せず、調子が悪いときは待たないですぐに医療機関の受診を」と呼びかけている。(木村綾)

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