【じゃらんじゃらん】 「癒やし」の竹炭 村おこしに一役 バリ島の集落 富山の専門家が指導 マイナスイオン放出 消臭や水浄化も

 バリ島ギヤニャール県ププアンで、日本の技術を導入した竹炭作りで村おこしが進んでいる。日本では、竹炭は燃料ではなく、消臭や水の浄化など主に生活補助用品として利用されているが、インドネシアでは新たな試み。竹が豊富に採れることを生かした村の新事業は、顧客に高級ホテルや自然食レストランを抱えるなど、主に在住外国人の間で着実に竹炭愛用者を増やしている。 

■豊富に自生
 訪れたのはププアン村を構成する小村の一つ、ティンブル。ウブドを通り過ぎ、キンタマーニへ向かう道から東に入ったところにある。途中、豊富な水を湛えた水路で洗濯や水浴びをする親子とすれ違った。
 竹炭を作っているアグン・プトゥリさんの家は谷を見下ろす絶景のスポットに立っていた。手入れの行き届いた芝生の庭の一角に炭窯があり、専従スタッフが出来上がったばかりの竹炭を窯から次々に取り出していた。窯は日本の炭焼き職人の指導で作ったものだ。
 ティンブルは人口1300人の集落だが、寺が普通のバリの村に比べてはるかに多い30軒もある。そのため、人々は祭事に多大な時間とお金を使ってきた。「よそで仕事をしようにも一家族の子どもの数が少なくなったため、残した家族に祭事を任せるのが困難になりました。そこでこの辺りに豊富に生えている竹を生かして地元で何か新たな産業を興せないかと考えたのです」とプトゥリさんは話した。
 それまで石鹸やエッセンシャルオイルを家内工業で作っていたプトゥリさんは、知り合いのつてで、富山県で炭焼きを利用して過疎化対策に取り組んでいた専門家らと連絡を取った。バリの竹でも質の良い炭が作ることができることを日本で確認した後、彼らの指導の下で2007年に竹炭作りを始めた。

■多様な用途
 多孔質の竹炭は空気中の水分やにおいの元となる物質を吸着する。飲料水の浄化や部屋の消臭のほか、土壌改良、カビやシロアリ対策にも利用され、最近では電磁波を吸収し、ストレスを和らげるマイナスイオンを放出する癒しグッズとしても注目されている。
 ボランティアとしてプトゥリさんを手伝っているバリ在住の井岡奈津子さんは「リラックス効果があるので、マッサージルームの床や壁に使ったり、枕やベッドの下に敷いている人もいます。それまで水道のお風呂に入るたびに痒みを感じていた人が、竹炭を入れたら反応が出なくなったと話していました。細い枝の炭は花瓶に束ねてさして部屋に飾ったり、変わった使い方では揚げ料理の時に油に入れるとからっと揚がりますよ」と話す。
 インドネシアでは、竹炭は木材炭と同様に燃料として利用されるだけだ。「今のところ私たちの竹炭の利用者は外国人だけ。インドネシア人の間でも竹炭の素晴らしさが広く知られることを願っています」とプトゥリさん。
 プトゥリさんの家では炭作りのワークショップも行われており、これまで日本から大学生のグループなどが訪れている。
 問い合わせは、アグン・プトゥリさん(携帯0812・387・3584)まで。

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