【じゃらんじゃらん】 砂の彫刻で世界巡り 砂像フェスティバル 18日から1カ月開催 ボゴール・スントゥール

 インドネシアや世界の観光地や文化遺産を砂の彫刻で表現し、紹介する「インドネシア砂像フェスティバル」が、18日(日)から来月28日(土)までインドネシアで初めて開かれる。世界11カ国から22人の砂像彫刻家が参加、東南アジア最大規模になるという。

 会場は西ジャワ州ボゴール県スントゥール・シティ内のタマン・ブダヤで、白い仮設テントの下に40作品を展示。テーマは「インドネシアの不思議、世界の不思議」。
 インドネシアのテントには、ボロブドゥール寺院やプランバナン寺院などの遺跡、コモドやオランウータン、ラフレシアといった動植物、古代叙事詩「ラーマーヤナ物語」の登場人物ラーマとシンタ、バリの踊り子、ミナンカバウの伝統家屋などがずらり。世界の名所では、豪州や英国、米国の名所や動物、インドのタージマハル、エジプトのスフィンクスなどがそろう。
 いずれも材料は砂に水を混ぜただけ。バンテン州チレゴンで採掘された計2400トンの砂を持ち込み、少しずつ積み上げて土台を固めていく。2週間で細部を刻み、作品を完成させた。
 世界砂像協会(WSSA、本部・オランダのデン・ハーグ)のマルセル・エルスジャン・ウィッパーCEO(最高経営責任者)は「砂像は老若男女が楽しめる身近なアート。多くの人に見に来てほしい」と語った。
 入場料は平日5万ルピア、土日、祝日は7万5000ルピア。会期中、砂像制作のワークショップなど関連イベントも開催する。詳細はウェブサイト(www.sandsculpture.co.id)で。

◇鳥取砂丘観光を復興 砂像で町おこし
 砂像フェスティバルには、日本で唯一のプロ砂像彫刻家の茶圓(ちゃえん)勝彦さん(50)も参加した。11月下旬から2週間かけ、自由の女神やニューヨークの摩天楼、グランドキャニオンなどを一カ所にまとめた高さ約5メートルの作品を完成させた。「粘土質の砂で苦労したが、その土地の砂の性質に合わせて作品も工夫している」と茶圓さん。
 砂像に取り組むようになったきっかけは、1987年、郷里・鹿児島県加世田市(現・南さつま市)の「吹上浜砂の祭典」。武蔵野美大卒業後、町おこしのために企画されたイベントを手伝い、カナダから招いた砂像彫刻の第一人者に才能を見いだされた。99年、砂像彫刻の世界選手権で日本人として初優勝。以来、各国で活躍してきた。
 故郷の祭典はゴールデンウィークの年中行事として定着。茶圓さんは、さらに鳥取砂丘の観光復興にも取り組んだ。「砂丘に付加価値を」と自治体や関係者らに呼び掛け、世界砂像フェスティバルを誘致。毎年、期間限定の「砂の美術館」を開催し、低迷していた観光客もバブル期の年間200万人に迫るまで回復した。来年3月には世界初となる常設の砂の美術館も完成する。
 砂像の美学は「崩れるところにある」。他の物質は混ぜず、砂だけでどこまで創れるか。人物作品では、あごなど曲線は崩れやすく、重力との戦いだ。「崩れる前に見に来てほしい」。砂を芸術に仕立て上げたアーティストとして、ジャカルタでも定着することを願う。

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