【じゃらんじゃらん特集】サヌール沖の不思議な島 バリ州ヌサプニダ

 バリ島サヌール・ビーチから良く見える約200平方キロメートルの大きな島ヌサプニダ。スピードボートでわずか30分という近距離にありながらほとんど観光地化しておらず、1950年代のサヌールとさえ言われている。波が比較的穏やかな朝、ヌサプニダに渡った。
 島へのボートは数社が毎日往復3便を運航している。出掛けた日、乗り場に観光客の姿はなく、大きな荷物を持った地元の人たちや、白い正装姿に供物を抱えた参拝者の一団が次々にボートに乗り込んでいた。
 ダイビング・スポットとして有名なレンボンガン島やチェニンガン島を通り過ぎ、ヌサプニダの海岸に着いた。ヤシの木と粗末な建物がまばらに立つビーチ。確かに一昔前のサヌールだ。
 運転手つきのレンタカーを借りて、まず洞窟の寺院であるカヤンガン・ジャガット・ゴア・ギリ・プトリに向かった。道路は舗装こそされているがぼこぼこで、隆起が激しい。道路脇には赤や緑の海草が干してあった。雨が少なく石灰質の土地柄、農作物は育たない。そのため、海草の養殖が盛んに行われている。
 寺院にはすでに大勢の参拝者がいた。最初の祈りが終わると、彼らは1人がやっと通れるほどの小さな洞窟の入り口に入っていった。「大丈夫、中は広いから」と言われて恐る恐る彼らの後に続くと内部は洞窟とは思えないほど広々としていた。祠(ほこら)がいくつもあり、頭上でコウモリのキッキという鳴き声がした。洞窟特有の湿り気に耐えられなくなり、反対側の出口からすぐに表に出た。
 本土のバリ人にヌサプニダについて尋ねると「霊峰アグンと対峙する魔物の住む島」「天国に行かれない魂が集まる場所」「ブラックマジックの島」などという答えが返ってくる。かつては1つの王国だったが、対岸のクルンクン王国との戦いに敗れた後、流刑地として使われたこともある。
 しかし最近は、商売繁盛、縁結び、若さを保つなどのご利益を求めて本土からの参拝者が増えているそうだ。次に訪れたのはその魔物とされるジェロ・グデ・ムチャリンが祀られたダラム・プナタラン・ペッ寺院。ここにも本土からの参拝者が大勢いた。
 最後に立ち寄ったクリスタル・ベイは綺麗な弧を描いた冒険映画の1場面のようなビーチだったが、観光客はわずか数人。波が荒かったので、海には入らず、唯一の粗末なワルンでビールを飲んだ。
 島には至る所に大小の寺院がある。また本土なら田んぼにある祠がここでは海の中に建てられている。寺院を訪問するならサロンを持ってくるように。また移動には車よりオートバイの方が便利だ。ボートを降りた場所で1日単位で借りられる。  (北井香織、写真も) 

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