【じゃらんじゃらん特集】文化が混ざる港町 華人・ダヤック・ムラユ 中部カリマンタン州 パンカランブン

 南を海に面し、古くに港湾都市として栄えた中部カリマンタン州西コタワリンギンの県都パンカランブン。オランウータンが棲む国立公園の玄関口として栄える街では、華人文化と海洋民族、さらにはカリマンタンの先住民族ダヤックの文化なども垣間みれる。
 中心部には西コタワリンギン県がある地域を15世紀ごろから治めてきたワリンギン王国の王宮「イスタナ・クニン」がある。1986年に一度全焼したため、現在のものは2千年に建設された。コタワリンギンは交易で栄え、華人文化の影響が大きく、内部に展示されている調度品や馬車にその影響がみられる。しかし火事の際にほとんどのものが焼けてしまったために、内部には他に歴代の王の肖像画がわずか飾られているだけだ。現在は観光地として解放されているほか、結婚式や、要人を招いたイベントにも使われている。
 市の中心部から10分ほど離れたところにはダヤック族の建築を再現した高床式のロングハウスもある。観光のために建設したものだが、内部をみることはできない。しかし一つの住居に何十人も住むカリマンタン島の内陸部のダヤック族の家屋の雰囲気を感じることができる。
 イスタナもロングハウスもともにボルネオ島で採れるウリン(鉄木)で建てられている。水に濡れても腐らず、強度が高いためにカリマンタン島では主に家屋に使われてきた。しかし成長が遅く、乱伐も進んでいるために、最近は価格も高騰し、貴重になっているという。
 パンカランブンの住民は政府の移住政策などのためにジャワ人が多数を占めている一方で、ムラユ人も多い。ガイドのエファンさんは「パンカランブンに住むムラユの人々は川や海の近くに住み、漁業で暮らしてきた。現在もその生活は続けられているよ」と話すように、ムラユ人が多く住む川沿いの家屋にはブギス人などにもみられる海洋民族の住宅の典型的なモチーフである千木が突き抜けた家屋が多くみられ、海の近くで生活してきた影響が見られる。
 パンカランブンへはジャカルタから一日に一便、直行便がある。町中は一日もあれば充分に回ることができるので、オランウータンの観光とともに訪れるのがいいだろう。(高橋佳久、写真も)

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