【じゃらん・じゃらん特集】 民話の火山  噴火後の景勝地 西ジャワ州タンクバンプラフ山

 西ジャワ州バンドンから北へ約20キロ、スンダ語で「ひっくり返った船」という意味のタンクバンプラフ山。今年3月初旬にも噴火し、火口付近への立ち入りが一時禁止された活火山だが、普段はインドネシア人なら誰もが知っている民話「サンクリアン」の舞台として有名な景勝地だ。
 車から降りるとひんやりとした風に体がこわばった。有名な「女王の火口」は駐車場から歩いてすぐの所にある。硫黄の臭いと灰色の岩肌。奥の方からは白い煙が上り、すり鉢状の火口の底は火山灰で埋まっている。命が生まれる以前の地球はこんな姿だったのだろうか。
 すぐそばに質素な作りのお土産屋がずらりと並んでいた。もう少し離れた所にあったらいいのに、と思いながら目をやると、揚げたての豆腐を売っている店があった。これが思いのほか美味しい。
 「ドマスの火口」はここから30分ほど山道を下った所にある。「火口まで案内する」とガイドが近づいてくるが、他にも下る人たちがいれば必要ないだろう。もちろんガイドを雇えば、道中いろいろと説明してくれる。途中の森は火山灰にやられた木々が目立ち、噴火の規模が想像できる。
 この火口は大きな岩がころがる川原のような所で、岩で囲った池のような中に灰色のお湯が湧き出ていた。湯気がもくもくと立ち上っている熱湯から、生ぬるい湯までいろいろある。一つ一つ手を入れ、ちょうど良い温度の所に座って足をつけた。気持ちの良さに思わず大きなため息が出た。
 足湯のほか、温泉卵を作って食べたり、泥を使った足や背中のマッサージを受けたりすることもできる。この日はアラブ人の一行が気持ち良さそうにマッサージを受けていた。火山の泥は皮膚に良いとして、お土産としても売られていた。
 母親との結婚がかなわず、怒り狂って作りかけの船をひっくり返したサンクリアン。船の形の火山は民話のインスピレーションになった。3月4、6日に噴火し、10日ほど入山が禁止されたが、現在は解禁されている。(北井香織、写真も)

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