【雪国のインドネシア人】(上) 北国にも「母」 留学生、看護師候補の支えに

 しんしんと雪の降る北海道札幌市。「100%ハラル」と書かれた扉を開けると、ジルバブ姿の須見ウィディアさん(三六)が迎えてくれた。インドネシア料理店「ワルン・ジャワ」。道内で唯一ハラル(イスラムで認められているもの)食品を扱い、札幌在住のインドネシア人の社交場になっている。礼拝所(モスク)のすぐ近くで、集団礼拝のある金曜日の店内は一層にぎやかだ。ウィディアさんは日本人男性と結婚し、八年前にレストランをオープン。場所は北海道大学の近くで、昼食時には多くのインドネシア人留学生が訪れる。大学のこと、宗教のこと、文化の違いのこと。ウィディアさんは学生たちの悩みや相談を聞く「北海道のお母さん」的存在だ。
 店内ではハラル食品のほか、ジルバブ(ムスリムの女性がかぶるベール)やバティックも販売している。国民食ともいえるインスタント麺「インドミー」は在庫をたっぷり用意。留学生が夜食メニューにと買い込んでいくという。
 最高気温が零度を下回る真冬日となった十六日、二人のインドネシア人女性がワルン・ジャワを訪れた。経済連携協定(EPA)に基づき、日本での看護師国家資格の合格後の就労を目指すリサ・エルフリナ・シレガルさん(二四)とキニ・スヘルニさん(三五)だ。
 昨年十一月に来日し、静岡県の富士箱根ランドでの日本語研修を終えた二人。この日、受け入れ先の札幌西円山病院の担当者に迎えられ、北海道の地を初めて踏んだ。
 「疲れたでしょ。寒かったね」。ウィディアさんは暖かいテ・マニス(紅茶)を振る舞った。
 二人とともにワルン・ジャワを訪れた総務課長の高橋直樹さん(四一)と副看護部長の竹之内優美さん(四一)。「ここに来れば二人も情報交換でき、安心して生活できると思う」。そんな思いから、空港から真っ直ぐワルン・ジャワに寄った。
 いつも笑顔が絶えないウィディアさん。過去には、慣れない気候や外国で働くストレスから体を壊し、救急車で運ばれたこともあったが、今では札幌で楽しそうに生活するインドネシア人たちの姿を見ることが何よりの喜びで支えという。
 「いろいろな出会いがありました。これからも留学生たちのお母さんでありたい。札幌に住んでいるインドネシア人、みんな元気いっぱいよ」(つづく=【雪国のインドネシア人】(中))

◇三回連載で札幌市に住むインドネシア人たちの生活や暮らしを紹介します。

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