新車投入・販売網活発化へ 地道にブランドづくり NMI社長・関口勲さん
日産モーター・インドネシア(NMI)社長に関口勲さんが就任した。関口さんは19日、中央ジャカルタでじゃかるた新聞の取材に応じ、「新車投入を続けると同時に、販売網を充実させる。電気自動車(EV)への取り組みも進める」と方針を示した。日産の昨年販売台数シェアは、新興国向けブランド「ダットサン」と合わせても2%を割り込み苦戦。巻き返しに向け地道にブランドづくりを進め、「(短期の目標として)5%を目指す」と意気込む。
——インドネシアでの抱負。
日本勢が強い地域は初めて。競合他社が強い中で、日産の強みを全面に出していきたい。ブランドを作り上げる中で、グローバルに展開するテーマ「ニッサン ・インテリジェント・モビリティ」を大事にし、安全性やコネクティビティーなどで差別化。EVへの取り組みも展開する。(EV開発について)インドネシア政府側から技術協力への要望があれば、前向きに進めていく。
——昨年の販売台数は日産グループ全体でも1万7千台程度。今後の展望は。
商品と販売ネットワーク両面で強化していく。インドネシアのお客さまは新しい物好きで、商品の鮮度が落ちると(販売も)右肩下がりになる。他社は新車を投入してきている。
インドネシアでは4年間、日産車としては新しい商品が出ていなかった。昨年12月にSUVの新型テラ、19日はMPVの「リヴィナ」と「セレナ」を発売した。ことしはあと1台、来年と再来年も最低1台を市場に投入していく見通しは立っている。
日産車、ダットサンを取り扱う地場のディーラーが増えている。ネットワークの量と質を改善し、2019年度には最低でも25店鋪を開く(現在は約100店鋪)。もちろん、成果が出ていない店鋪の閉鎖もありうる。
——短期的な目標。
日産車とダットサン合わせて市場シェア5%を目指す。いきなりは難しいが、日産らしさを顧客にわかってもらうことが重要だ。
——三菱自動車との提携を含めた今後について。
20年から三菱自動車の小型多目的車、エクスパンダーのエンジン組立を日産の工場で行う方針だ。アライアンスを深化させていく方向性はぶれない。
日産はインドネシアでは最大18万台の生産能力がある。アジア・オセアニア地域における工場の活用について、戦略を描いていく。
——一貫して自動車事業を行ってきた。仕事の面白さとは。
自動車は国の経済や産業に与えるインパクトが大きい産業。EV対応のように、常に進化を続け、車の作り方も変わってきた。これからは戦略的パートナーと組み、どうやって顧客のニーズを上回るような付加価値を提供していけるか、という世界に入ってくる。グローバル企業としてのダイナミズムを感じる。
自動車はお客さまにとっては高い買い物。顧客視点のサービス向上を図ることが、一つのテーマになる。(平野慧、写真も)
◇ せきぐち・いさお 1995年住友商事入社。トヨタ自動車やスズキなど自動車分野を担当後、2014年日産自動車に入社し、エジプトに駐在。インド・中東・アフリカ地域の中期戦略などを担当した。18年12月から現職。神奈川県出身。46歳。