きょう政権発足2年 新閣僚就任、改造内閣始動 ユドヨノ大統領 「政策遂行を加速」

 ユドヨノ大統領は十九日、中央ジャカルタの大統領官邸で、十八日に発表した改造人事で新たに入閣した閣僚と配置換えした閣僚の就任式を行った。式後、ユドヨノ大統領は全閣僚を前に改造内閣の方針を演説、改造内閣が始動した。大統領選で再選後、二〇〇九年十月に発足した第二期ユドヨノ政権は二十日、発足から二年を迎え、残り三年の任期中に実績作りの加速を目指す。

 ユドヨノ大統領は演説で、「改造は各閣僚と省庁・国家機関の業績に基づいており、残り任期の三年間で政策の遂行を加速させたい」とあらためて強調。
 改造内閣の最重要課題を(1)国家予算の適切で効率的な拠出(2)汚職の撲滅(3)貧困の撲滅(4)エネルギー・食料安全保障の確保(5)百四十一の国営企業の組織改革(6)出稼ぎ労働者の保護(7)住民間紛争とテロの防止(8)公務員の規律と清廉さの向上―と明言。
 個別の課題としては(1)センチュリー銀行の公的資金注入問題と元汚職撲滅委員会(KPK)委員長のアンタサリ・アズハル事件の解決(2)インドネシアに不利と思われる鉱山の契約に関する交渉(3)パプアとアチェに関する特別な法令の策定と両地域の平和の確保(4)東部インドネシア開発の加速(5)石炭採鉱の自然環境への配慮と採鉱の下流産業の拡大(6)インフラ開発のための土地問題の解決(7)交通安全の促進―などを挙げた。
 ユドヨノ大統領率いる民主党や閣内で汚職疑惑が持ち上がり、支持率の下落につながっている中、「何が起ころうとも汚職撲滅はわれわれの主要な目標だ。われわれが日夜、国民の福祉向上のために働いているのに、少数の無責任な人間に国家のお金を盗まれるのは公平ではない」と語った。
 劣悪な環境が問題視されている海外出稼ぎ労働者問題では「経済成長促進・拡大マスタープラン(MP3EI)の実行などを通して雇用を創出し、出稼ぎ労働者の数を減らす」との方針を示し、暴力事件が断続的に起こっているパプアとアチェに関しては「死活的に重要な地域」と強調。
 テロや暴力事件に関しては、「法を自由に犯すことができると思わせてはいけない」と述べ、法に基づいて厳格に処罰すべきと訴えた。

◇第2期ユドヨノ政権 2年目の軌跡
 2010年10月20日 発足1年、全国で政権批判デモ
 10月25日 ムンタワイ諸島地震・津波発生、死者450人を超える
 10月26日 ムラピ山噴火発生、死者200人超える
 11月9日 オバマ米大統領訪イ
 11年1月28日 2004年の中銀汚職事件で政治家19人を一斉逮捕
 2月6日 「異端派」アフマディアの住民襲撃事件で3人死亡
 2月末 司法・税務マフィア問題で、連立与党間の対立激化
 5月7、8日 ASEANサミット、ジャカルタで開催
 5月27日 経済成長促進・拡大マスタープラン(MP3EI)発表
 6月17日 ユドヨノ大統領訪日、被災地訪問
 6月18日 サウジアラビアで出稼ぎ労働者に死刑執行
 7月23日 ASEAN地域フォーラム(ARF)、バリで開催
 8月7日 民主党元幹部のナザルディン容疑者を汚職罪で拘束
 9月上旬 労働移住省で汚職疑惑発覚
 9月25日 ソロの教会で自爆テロ事件発生
 10月18日 改造内閣を発表

◇議会との関係重視 副大臣が実務担う アジア経済研究所・川村晃一氏
 二〇〇九年十月に発足した第二期ユドヨノ政権初の内閣改造のポイントと、発足から二年が経った政権の成果と課題について、インドネシア政治、比較政治学が専門の日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所地域研究センター・川村晃一氏に聞いた。(関口潤)
 
 ユドヨノ大統領が残り任期三年となり、実績を残すために政策の遂行を加速させるための内閣改造だった。副大臣を大幅に増やしたが、政党出身の閣僚では進められないところを、官僚や学者など専門家が実務を担って穴埋めするということだろう。
 副大臣の拡充で、国内では「内閣が太った」と批判が出ているが、連立を維持し、政策を遂行する上で連立与党、議会との関係は非常に大事で、専門家だらけの内閣を作るのは難しい。
 民主党や福祉正義党(PKS)の閣僚ポストを一つ減らしたのに対し、ゴルカル党の閣僚ポストは三つを維持した。ゴルカルが一番大事なパートナーで、こことの関係を崩さないのが基本線だ。
 経済学者のマリ・パンゲストゥ氏が商業相から外れて、後任には実業家出身のギタ・ウィルヤワン氏が就任した。経済調整相のハッタ・ラジャサ氏、工業相のヒダヤット氏も実業家出身で、蔵相も銀行家のアグス・マルトワルドヨ氏。
 テクノクラート(学者)が外れたことが、国内で保護主義的な動きがある中でどのような影響を与えるのかが注目されるとともに、副大臣にテクノクラートや官僚を配置し、副大臣ポストが重要視されることで、彼らの中から次世代の閣僚候補が育ってくるかもしれない。
 文化観光省を観光創造経済省へ変えたのは、ユドヨノ政権の経済政策の中で観光を外貨獲得と産業育成の点で重視しており、より経済的な省庁にしていく意図があるのでは。観光業の振興という点でマリ氏に期待しているのだと思う。
 二〇一〇年は前半はセンチュリー銀問題があり、後半は税務総局の元職員ガユス・ハラモア・タンブナン受刑者をめぐる事件があり、政争で終わってしまった。再選したにもかかわらず、一年目は議会との関係を安定させることができなかった。
 今年五月に経済成長促進・拡大マスタープラン(MP3EI)が完成したのは大きな成果。今後の経済開発に向けた具体的なプログラムができあがり、いよいよ実行する段階に入っている。
 汚職撲滅の取り組みに関してユドヨノ政権に批判はあるし、閣内でも汚職疑惑もあったが、インドネシアの歴史の中では最も汚職撲滅に真剣に取り組んできた政権。国会や司法府などその他のプレーヤーが汚職の問題に後ろ向きであることが問題。
 経済が好調なのは政治の安定が大きい。これは現政権だけでなく、スハルト政権退陣後に民主化改革を推し進めてきた国としての成果だ。ユドヨノ政権が成長を自分たちの成果とするためには、インフラ整備や労働市場の柔軟化、農業の近代化など今までほとんど手をつけられなかった部分を改善し、成長をさらに伸ばしていくことが必要だ。

◇更迭閣僚も出席 不満あるが後任激励
 新閣僚の就任式には、更迭された閣僚も一部出席、ファデル・ムハンマド前海洋水産相やパトリアリス・アクバル前法務人権相も姿を見せ、後任を激励した。
 しかし、更迭が決まった十八日夕、ファデル前海洋水産相は緊張した表情で大統領官邸を訪れた。同日夕の改造人事発表で、ファデル氏は更迭。
 ゴルカル党の有力者シャリフ・チチップ・スタルジョ氏が後任に就任することが決定し、ファデル氏は記者団にも「大統領との面会を求めている」と話したが、「(後任が)誰であろうと支持する」と冷静を装った。その後、官邸内に入ったが、大統領との面会は実現せず、すぐに引き返してきた。
 パトリアリス前法務人権相は、更迭についてスディ・シララヒ国家官房長官から電話で伝えられたという。「法相としてミスは無かったと言われた」と語り、「暗い気持ちだが幸せな気分」。退任後は、西ジャワ州バンドンのパジャジャラン大学で博士号取得を目指すと話した。

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