動物たちと過ごす癒やしの時間 南ジャカルタ 広大なラグナン動物園
動物園めぐりは子どもたちの特権。そう思い続けて半世紀が過ぎたが、動物たちは写真撮影のかっこうの被写体でもあるとジャカルタに来てから気付いた。特に超望遠レンズがあれば、動物たちの表情もしっかり写し撮る。雨期の真っ只中とあって2時間ほどの短時間だったが、南ジャカルタのラグナン動物園を再訪してみた。
この動物園を撮影目的で訪れるのは2回目。新型コロナの行動制限が緩和に向かう中、動物園の営業が再開された約2年前だった。その時に書いた記事を読み返してみると、やはり来場者は少ない。「長い巣ごもり生活に慣れきってしまい、外出がまず怖く、出不精にもなった」。
西ジャワ州デポック市から来た家族連れがそんなコメントをしてくれていたが、再訪した日は平日でもあり、幼稚園や小学校の子どもたちがバスを連ねてやってきていた。東ジャカルタの幼稚園に通うメンサ君(6)は「外国の動物を見たい」。ラリタちゃん(6)は「絵をたくさん描いて弟に見せるの」と大張り切り。元気いっぱいの笑顔がなんとも微笑ましく、同時にコロナ禍の収束を改めて実感する。
前回訪問では入り口ゲートから、チケット売り場にたどり着くまでに3回の検温を求められたが、もうそれもなかった。まして保健アプリ「PeduliLindungi(プドゥリリンドゥンギ)」でワクチン接種を証明する必要もない。
ただ、ラグナン動物園の広さたるや東京・上野動物園のおよそ10倍と広大。園内を歩いて回るには相応の覚悟が必要なのは変わりない。園内の地図があれば効率的に見て歩けるが、入り口で案内されたQRコードから読み取る地図はなんとグーグルマップ。手抜きというのか、ほとんど役に立たない。
そこで前回同様、案内表示を見つけながら、移動の足はレンタサイクルに頼ることにした。2時間で2万ルピア。レンタル料はリーズナブルだが、自転車の整備に難があった。6台の中から選んだ1台だったが、シフトレバーが壊れていて変速機が使えない。「歩いた方がよかったかも……」。悩ましかった。
それでもファインダー越しに動物たちの表情を見ていると、日常の報道写真とは違ってほっこりした気分に。残念なことがあったとすれば、最大目標だったゴリラ園でゴリラに出会えなかった事。ジャングルのような広いスペースに放し飼いとなっていて、迫力の写真を撮れるのではと期待していたが、食後のお昼寝タイムだったようでゴリラは次回に持ち越しとなった。
今回のジャカルタ駐在が始まって4年。ジャカルタの観光資源は決して豊かとは言えないと思うが、動物たちと過ごす半日は心身をリセットする癒やしの時になった。(長谷川周人、写真も)