巨匠が生きた世界へ没入 体験型展覧会 ポスト印象派「ファン・ゴッホ」

 オランダ出身の巨匠で芸術家、フィンセント・ファン・ゴッホの没入体験型展覧会「ゴッホ・アライブ」が3カ月の会期を走りきり閉幕した。会場は西ジャカルタのモール「タマン・アングレック」。邦人もよく訪れるセントラルパークモールのすぐお隣だ。オーストラリアの企画会社が制作した同展覧会は世界を巡回し、動員数は850万人超え。日本の浮世絵に強く影響を受けたゴッホの世界へワープした。

 オランダ南部で牧師の家庭に誕生したゴッホ。ポスト印象派を代表し、今でこそ名声を博すが、彼の絵画が評価され始めたのは没後。生前は鳴かず飛ばずだったという。彼が今の時代に生き返り、自身の作品につけられた値段を見たならば、どんな反応をするだろうと想像するとクスッと笑える。
 埼玉・愛知・兵庫など日本各地でも開催した「ゴッホ・アライブ」。ジャカルタにもやって来ると聞き心底わくわくした。しかし、チケット代は20万ルピア台。強気の値段設定に期待が高まる中、いざ突入する。
 正直な感想は、内容が薄く、写真映えに全振りするなら値段相応かなと感じた。メーンスポットは、クラシック音楽などを背景に巨大なスクリーンに作品を投影。360度、ゴッホの絵に包まれ五感で楽しむ没入型デジタルアートの世界だ。ここで最も楽しみにしていたのが、事前情報にあったハンモックやふわふわのクッションに横になり、まどろみながら鑑賞すること。しかし、信じたくなかったがクッションがない……。泣く泣く腰が砕けるくらい固い床に体育座りで鑑賞した。
 ただ肩を落とす中、「ローヌ川の星月夜」で川に反射した水光を、映像だからこそ再現できる水面のゆらぎが素敵だと思った。また、嬉しいことにゴッホが晩年に影響を受けた日本の浮世絵作品を模写した「花魁」「梅の開花」「雨の大橋」などが歌川広重らの作品と共に取り上げられていた。
 開国間もない日本が1867年のパリ万博に初参加。突如として現れた日本の工芸品や美術品の斬新さが人々の胸に刺さり、日本美術が大流行。それまでの西洋美術は、遠近法などの描画技術を操り、奥行きがある絵画を描いていた。これに反し平面的で色彩が自由な浮世絵が、フランスで活躍していた画家に衝撃を与え、「ジャポニスム(日本趣味)」という言葉まで生まれた。連作「睡蓮」を代表作に持つ印象派の巨匠、クロード・モネも浮世絵の影響を受けている。
 遠い存在に思える名を馳せた西洋画家も、日本にゆかりを持つと知るとなんだか親近感を覚える。次回はどんな作品展がやって来るだろうか。(青山桃花、写真も)

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