遊びの大切さ (77)

 「幼稚園に通う息子ですが、朝はぐずぐずしてなかなか支度をせず、帰宅しても鞄を放り投げてしばらく寝転がり、ゆっくりしてからでないとお稽古ごとに動き出せません」
 お子さんがテキパキ動けないことがご心配のようですが、お母さまはどうしてそうなるのか、考えたことはありますか。実は、お子さんのそのような行動は「疲れた」のシグナルです。でも、大抵の親は怠け癖がついてはいけないと「叱咤激励」したり、「ご褒美」で釣るという飴と鞭を繰り返してしまいがち。そもそもお稽古ごとに喜んで通うことが当たり前のことなのでしょうか。
 お子さんの生活に、遊びの時間が十分確保できているか、親の管理が強過ぎていないか、見直してみましょう。子どもの将来のためにと、ギッシリお稽古のスケジュールを組まれているご家庭をよく見かけます。
 「お稽古に通う中で、子どもは遊んでいる」という親の言い分を聞きますが、お稽古は純粋な遊びではなく、遊びの要素を含んだ活動に過ぎません。大人にお膳立てされていない、お子さんが自由な発想で自発的に動ける遊びの時間を十分に与えることが、子どもの心育には欠かせないのです。幼少期の遊びが、根源的に、総合的に、子どもの人格を形成します。
 令和3年のデータによれば、日本の小中学生の不登校が過去最高の24万人となり、特に中学生は20人に1人が不登校になっています。もはや不登校は特別の子どもの問題ではなく、どこの家庭にも起こりうる問題です。
 今回の相談を契機に、子どもの自己肯定感と自尊感情を育むための、幼少期の遊びを見直していただきたいと思います。
 遊ぶことは先ずもって楽しくなければいけません。ワクワクする、ドキドキする、イキイキするものでなければなりません。
 我が子の個性、気質にどうかと考え、思い切って転園させ、一切のお稽古まで辞めてしまわれた潔いお母さまがおりました。すると、子どもの表情は輝きを取り戻し、自らドンドン動き始めたそうです。大好きなダンスをお稽古に認めてもらえた小学生姉妹は、積極的に発言できるよう変わりました。
 感情はエネルギーを生み出します。感情のエネルギーが高ければ、子どもは自然と快活になり、脳も活性化して、放っておいてもテキパキ動きます。(家族関係心理士 心理カウンセラー 高﨑美佳)
 〈連絡先〉カウンセリングルーム「ミカモーレ」(fc.mikamour@gmail.com)まで。

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