「家族のような温かい学校」 BJS 山田啓史校長

 前任から与えられた課題は「在校生の維持と増加」。21年度末には生徒数が2人にまで減ったバンドン日本人学校(BJS、西ジャワ州バンドン市)だが、23年度は小・中学部合わせ11人となる予定だ。無事に課題を果たした山田啓史校長(63)が2年間の任期を終え17日、宮崎県延岡市へ帰任した。

 新型コロナ禍で学校に登校できなかった期間は、前任から続いた「訪問授業」を継続。保護者や教員宅で授業を行うなど試行錯誤の2年間だった。BJSでは、昼食は全校生徒と教師が一緒に食べ、食事の後はみんなで遊ぶ。山田氏はBJSを「家族のような温かい学校」と表した。
 99~02年に米ニュージャージー州の日本人学校で勤務経験を持つ山田氏。米同時多発テロや日本以外にルーツを持つ子どもが多いBJSでの経験から、「学校に子どもが来るのは当たり前ではない」と自身の教育観を180度変えた。これまでは「厳しい先生」だったと山田氏は笑った。
 「不安や家庭の心配事、いろんな想いを持ちながらそれでも通ってくれる。ありがたいと思うようになった」「学校に子どもが来てくれないと自分たちは何もできない」
 山田氏はまた、BJSの生徒は「悩みを見せない明るさや優しさを持っている」と語り、それでも教員が何かあったのかと聞くとやはり家庭や進路の悩みを抱えていると明かした。
 山田氏は「日本なら誰に相談するか選択肢は多いが、人数が多く徹底ケアができない」と生徒少数の利点も挙げた。
 海外校の校長として初赴任した今回。海外校は、教育現場の環境や考え方、経験が異なる47都道府県から教員が集まる。それぞれの良さを分かち合いながら教員が一枚岩にならなければならない。「理想的な学校職員で、助けてもらった」と教職員に感謝した。
 BJSは在校生の減少や日本国内での教員不足にともない、今年度は数学の専門教師がいなかった。四苦八苦した1年だったが、「来年度から専門教師がそろう」と嬉しそうだ。山田氏も国語と算数の授業で教壇に上っていたという。
 山田氏は帰任後も、教育現場に携わる考えで、「やっぱり現場が良い。子どもがいると1日にメリハリがでる」と語った。(青山桃花、写真も)

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