遂にカーバ神殿をこの目に メッカ ウムラでイスラムの美を

 サウジアラビアにある聖地「メッカ」へのハッジ(大巡礼)。これはイスラム教徒が実行すべき5つの義務の1つだ。しかし、世界最大のムスリム人口を抱えるインドネシアでは、ハッジの実現までの順番待ちに時間を要する。ハッジに登録してから州別にもよるが、西ジャワ州なら約40年かかり、ハッジより簡易なウムラ(小巡礼)を利用しメッカ巡礼をするムスリムも多い。

 全世界のムスリムは来週、聖なる月、ラマダン(断食月)を迎えるが、ありがたいことに私と妻は1月30日、ウムラを行うためにメッカへ行くことができた。旅行代理店を通じ、45人のグループでスカルノハッタ空港(バンテン州タンゲラン)を出発した。
 約9時間のフライトを経てサウジアラビア第2の都市、ジッダに到着。その後、ホテルから徒歩5分の距離にあるカーバ神殿があるMasjidil Haram(マスジッド・ハラム)へ行った。世界中のムスリムはこのカーバ神殿があるキブラ(方角)に1日5回祈りを捧げている。
 遂にカーバ神殿を直接目にすることができた時、私は「感謝」「幸福」といった感情が入り交じった。ここでは「イスラムの美」を見ることができる。色々な国、色々な人種が集まり、お互いを知らなくても助け合い、分かち合い、祈り合う。その穏やかな空気感の中に平和を感じる。
 マスジッド・ハラムには数百もの入り口があり、初めてここへ訪れる人は迷子にならないよう、自分が通る指定された入り口の番号を覚えておく必要がある。
 この日の気温は18度とかなり寒かったが、礼拝をするので寒さは和らいだ。男性は白い布2枚を使い体を覆う。この白い布以外に肌着や靴下など衣類を身にまとうことは許されない。
 ウムラの目的はイスラム教における唯一神「アッラー」に近づくため。また、ウムラには多くのルールがある。例えば、まず体を清めて男性はイフラームと呼ばれる特別な白い布を着用する。そして、ヤラムラムと呼ばれる預言者が定めた地点で祈りの言葉「Labbaikallahumma umratan(アッラーよ。ウムラへのあなたの呼びかけに応じます)」を唱える。
 この言葉を唱えたら、汚い言葉や香りがつく石けんや香水を使うこと、争いや生き物を殺すことは禁じられている。
 多額の費用と強い体が必要なウムラ。それでもインドネシアに戻ると妻と意見は一致した。「次のウムラは子どもたちも一緒に」。ほとんど全ての巡礼者がウムラを行うために再びメッカに戻りたいと願う。これを実現するためにも、今年のラマダンは心乱さず、穏やかな気持ちで信仰を深めよう。夫婦で定めた次の目標のためにも。(メッカ=アグス・メディアント、写真も)

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