仲良し親子は危ない

 「楽しみで実家に帰省しても、母の言動になぜかイライラが募り、5日間の滞在で一杯一杯でした。愛情一杯に私を育ててくれた母と私は仲良し親子だったはずなのに、私が変なのでしょうか」
 仲良し親子であるがゆえのご相談内容です。愛情深い母親は、子のためにあれこれと尽くします。仲良しであるがゆえに、子は親の欲求に合わせて行動してしまいがちです。時には、自分が親に傷つけられているのにその自覚さえないケースもあります。
 幼少期に、あなたの気持や感情を親に聴いてもらえましたか? 自由意思を奪われたことはありませんか? 嫌なのに、グッと我慢して平気なふりをしてきませんでしたか?
 例えば、お稽古は母親に決められ、お手伝いも母親のやり方だけが正しいと教えられ、進学や就職も母親の考えに従うことが全てと思い込まされ、友人付き合いさえあれこれと言われたみたいなことはありませんでしたか?
 母親にしたら、子どもの幸せを願うあまりにしたことでしょうが、もし思い当たることがあるとすれば、親の支配があったと言わざるを得ません。子どもを自分の分身のように感じる母親は、子どもに選択権があることにも平気で境界線を越えて踏み込み、子の方も親に依存し、自分の方に境界線を引いてしまいます。この視点から見ると、今回の悩みは、あなたが成長し、境界線を押し戻そうとているからこそ、起きていることなのです。
 人間は誰しも、自由でありたく、自分で考えることに喜びを感じる生き物なので、親に支配されると居心地の悪さを感じてしまいます。大人になって、この重苦しさに気づいたあなたが、自分の気持ちを親に伝え、親に受容してもらえたら、心の安寧が得られるでしょうが、親は愛情をかけただけに「感謝もできないのか」と憤慨するかもしれませんね。そうなるとあなたの心の傷口に塩を刷り込むことになりかねません。
 幸せになるために今のあなたにできることは、人から愛されることではなく、自分で自分自身を愛することです。あなたに必要なのは、自分を守る、自分を大切にするコミュニケーション術です。親の欲求ではなく、自分の欲求に耳を傾け、「私はこう感じ、こう考えている」「私はこうしたい」と親に伝えましょう。嫌な要求には「ノー」と言いましょう。親とけんかをせず、自分の思いを伝えられたとき、「自由」を取り戻すことができます。(コミュニケーション専門カウンセラー 高﨑美佳)
 ≪連絡先≫カウンセリングルーム「ミカモーレ」(fc.mikamour@gmail.com)

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