安全・安心の舞台裏 デポック車両基地 日本の中古車両を支える

 通勤・通学、生活の足として、ジャボデタベック(首都圏)を走る日本の中古車両約1150台。それをメンテナンスしているのが、クレタ・コミューター・インドネシア(KCI)の管理下にある車両基地(西ジャワ州デポック市)だ。清潔感を保ち、安心・安全な運行を支えるKCIの「現場」を見てきた。

 車両基地は2007年、日本の政府開発援助(ODA)で整備された。JR東日本が輸出した203系や205系などの電車の清掃や整備を行うオーバーホール、いわゆる定期メンテナンスなどを行う。
 基地内の電車には「日立製作所 昭和63年」、「JR東日本」、「大宮総合車両センター 平成16年改造」などの日本語表示が残っており、鉄道ファンにはよだれものなのだろう。
 電車のエアコン、ドアの開け閉めやブレーキなどを動作させるために必要な圧縮空気を発生させるコンプレッサー。架線から電気を集めるパンタグラフ、車輪を削る「在姿(ざいし)車輪旋盤」など、取り外された部品に単体でお目にかかる機会はなく、これらをメンテする整備機器を見学するのも新鮮だった。
 車両を洗うのは終電後の深夜。洗車機があるわけではなく、なんと手洗いで行うという。首都圏専用電車(KRL、コミューター)は何度か利用したことがあるが、清潔な電車が人の手によって保たれているのだと知り、驚いた。
 また、車両基地を見学したこの日、ジョクジャカルタ~ソロ(中部ジャワ州)間を結ぶ路線を走っていた205系を見ることができた。車体にはバティック(ろうけつ染め)模様のデザインが施され、まさに日本とインドネシアのコラボレーション。粋なデザインだと思った。
 ジョクジャカルタ~ソロ間を走る205系は首都圏専用電車のダイヤ変更に伴い首都圏に呼び戻された。活躍の舞台が中部ジャワから再び首都圏へと戻ったのだ。
 車両基地を案内してくれたのは、JR東日本から出向しKCIにメンテナンスエンジニアとして着任した中田智明さんだ。彼が現場で交わすあいさつも印象に残っている。中田さんが「スラマット・パギ(おはようございます)」とすれ違うインドネシア人整備士全員に声をかけると、みんなから笑顔が返ってくる。中には遠くから中田さんに手を振る整備士もいた。すでに信頼関係が構築されているようだ。
 車両基地の見学を通じ、運行の安心安全を支える舞台裏にも多くの整備士が関わり、協力している姿を見て感慨深いものを感じた。これからも日本の電車が異国の地で安心・安全に運行できるよう期待したい。(長田陸、写真も)

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