【今日は心の日曜日 60】部下の育成方法
「見当違いの行動をしてしまう部下の育成に悩んでいます。先日も、社内提案用資料を作成したと見せに来ましたが、優先順位が判断できておらず却下したら、想像以上に落ち込んで出社しなくなりました」
こうしたケースでは、上司の多くが部下に問題があると受け止めがちなのに、自分自身の育成方法に目を向けたことに賢明さを感じます。上司と部下が目指すゴールのイメージを共有できず、思考にズレが生じたことで発生した問題であると感じます。
部下の落ち込みは、人は誰しも他人に認めてもらいたいものなので、部下は部下なりに努力したつもりが、歯牙にもかけてもらえなかったことに落胆してしまったことが原因です。
この場合、「自主的に考えてみてくれてありがとう」と肯定メッセージをまず伝えるだけでも、相手に安心感を持たせることができます。その上で、部下と対話する中で、会社の課題を共有していくことから始めてみてください。
提案しようとした動機、日頃から大事だと思っていること、やりたいことに耳を傾けてあげると、部下の上司への親近感が湧き、上司の方からも、部下が仕事を進める上でのフォローをしてあげやすくなります。
すでに、組織の目的や目指している成果、今の課題も示していると思われたかもしれませんが、目の前のことに一生懸命になるほど、ほかのことなど忘れてしまいがちです。その都度、確認しながら伝えていく努力をしないと、表面的な注意だけでは、部下の見当違いの行動は回避できなさそうです。
今回の相談内容は、職場でありがちなことだと思いますが、上司と部下との関係が深刻化すれば、離職やメンタル不調の問題が発生することもあります。
職場の人間関係を良好にして仕事を円滑に進めるには、上司自身の接し方が決め手となるので、傾聴法をご紹介します。【前半】は傾聴に徹し【後半】に展開・相談です。【前半】①迎え入れる/受容する②肯定的メッセージを伝える/共感する【後半】③願望・希望を聴きだし膨らませる④考察/イメージ作り/問題点の確認⑤部下の意思決定⑥感謝して終わり、です。この点は次回、詳しく説明します。
間違って質問から入ると、聞いているつもりでも、部下との共感が得られないので、部下の自主性ある行動は生まれません。行動は感情に左右されます。(コミュニケーション専門カウンセラー 高﨑美佳)
本稿へのご質問などはカウンセリングルーム「ミカモーレ」(fc.mikamour@gmail.com)まで。