感情コントロールに注意
「着任後、いまだに仕事に慣れず、家でもイライラして時々家族に暴言を吐いてしまいます。これではいけないと思っていますが、どう感情をコントロールできるのでしょうか」
相談者は、感情をコントロールすることが良いことだと思っておられるのでしょうが、感情をコントロールすることは決して良いことではありません。
本屋に行けば「感情のコントロール」といった自己啓発本が棚に並び、職場の研修でも感情をコントロールしなさいと言われるので、驚かれたかもしれませんが、人間の身体や精神にとって決して良いことではないことを強調しておきます。
我慢しているから爆発するのであり、要は嫌なわけです。ストレスが溜まっていくうちに、人はそれを発散することで自分を守ろうとする自己防衛の行動を取ります。
男性はストレスを抱えると一人になりたがります。女性のように気持ちを話すことに慣れていないので、「男は黙って〇〇ビール」というかつてのコマーシャルのとおり、自分も黙ってビンタンでも飲むかと、帰宅したとします。感情を抑え込んでいる人の表情は暗く、喋らないので何を考えているか分からず、不気味に見えます。
すると、楽しそうに話していた妻子のテンションはいきなり下がり、色で言えば、ピンク色がブルー色に様変わりするようなものです。その証拠に、子どもたちは子ども部屋に消え去ります。奥さまは主人の重苦しい表情を見ることが苦痛で、その上お酒の勢いによる言葉のDVも重なると最悪です。あなたが感情をコントロールしようと頑張れば頑張るほど、事態は悪化します。
むしろ、感情は出すことが自然です。嬉しさや喜びだけでなく、怒りも悲しみも、出すことで心は軽くなり、元気になります。
感情を出すといっても、ストレスをぶつけるのではありません。「言葉」を変えるのです。気楽に家族に気持ちを話すようにしましょう。手始めに今日お父さんはこんなことがあった、その結果こんな気持ちだと、思いや考えを家族に報告するようにしてみましょう。
話すことで、気づきが得られます。貴方の話から、奥さま、お子さんたちも、自分の相談もしやすくなるでしょう。駐在生活を家族みんなで乗り越える力になります。(コミュニケーション専門カウンセラー 高﨑美佳)
本稿へのご質問などは、カウンセリングルーム「ミカモーレ」(fc.mikamour@gmail.com)まで。