登山、自然、温泉を満喫 迫力満点の火口 青春時代を彷彿させる山

 異国の地で暮らしていると疎遠になっていくことがいくつかある。記者が高校生や大学生だった頃、学校は山の麓にあり、部活終わりや授業終わりに登山をしていた。しかし、ジャカルタに赴任して以来、身近な存在だった登山は仕事などで疎遠になってしまった。そんな中、ジャカルタ暮らしもに2年目に突入したばかりの6月、西ジャワ州ボゴール県のサラック山に登山した。

 サラック山の標高は2211メートル。様々な登山道が存在するが、目的地となったのは硫黄の臭いが充満し、温泉が湧き出る迫力満点の「カワ・ラトゥ(女王の火口)」だ。往復約10キロ、高低差約600メートル。往復で6~7時間ほどのコースで、ジャカルタ歩く会が開催した。
 山道には小川の水が流れ込む所もあり、靴は濡れてしまうものの冷たくて気持ちが良い。長らく運動していなかったが意外と疲れなく、無事火口に到着することができた。今まで溜まっていた何かが汗と一緒に流れ出るような感覚を味わった。
 火口やその周辺で充満する硫黄の臭いは思ったよりきつくなかった。持参したおにぎりやバナナを食べた後は下山。最後の方に小雨が降ったが、天候は比較的良好で問題なく下山し終えることができた。
 日本やインドネシアで登山は何度も経験している。ただ、火口がある山の登山は今回が初めて。40度前後と思われる温泉が流れる川を渡った時は、疲労が溜まった足に癒しを与え、なんとも言い難い気持ちよさを味わうことができた。
 冒頭でも触れたが、記者の高校と大学は山の麓にある学校に通っており、小規模ではあったが、登山は身近な存在だった。サラック山を登り、昔は友だちと雑談をしながら山に登っていたこと、展望台でソフトクリームを食べたことなどを思い出した。
 また、日本とインドネシア、同じ登山でも違う点はいくつもある。例えば、森の生態系。日本では生えていない植物がインドネシアの山ではたくさん生えており、多様性に満ちているのを感じることができる。見たことがない植物が見れるのも新鮮だ。
 今回のサラック山に限って言えば、高温の温泉が湧き出るエリアに柵はなく、日本では危険で近づくことも許されないような場所に近づくこともできる。地元の登山客は沸騰する温泉が湧き出る場所へギリギリまで近づいたり、硫黄の臭いが充満するエリアに写真撮影を目的にズカズカと入っていく。写真映えに力を入れるインドネシア人の姿があった。
 下山して解散後、駐車場にあるワルン(屋台)で食べたインドミー・ルブス(インスタント麺を茹でて調理したもの)はいつもより美味しく感じた。記者の青春時代を彷彿とさせるのが登山。サラック山はそんなことを思いださせ、また「登りたい」と感じさせてくれた山だった。(長田陸、写真も)

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