【新生活特集】医療に関する基礎知識 岡本文宏医務官 日本大使館

 インドネシア、特にジャカルタの日本人駐在員が住むような地域では衛生状態も改善してきた。食生活においても、もちろん屋台や街の食堂などあまり衛生的にお勧めできない場所もまだあるが、場所を選びさえすれば衛生的な食事ができる場所はたくさんある。
 ただ、水道水は設備の老朽化などの理由から必ずしも安全とは言えず、口にする水はペットボトル入りのミネラルウォーター(家庭ではガロンと呼ばれる20リットル入りボトルの利用可)をお勧めする。赴任して2週間~1カ月ほどは水や食事の違いにより胃腸の調子がよくない方が多いが、多くの場合は次第に慣れ、落ち着いてくる。
 インドネシアでよくみられる病気は、新型コロナウイルスに隠れてデング熱は気をつける必要がある。特にゴルフ場や野外の公園などで蚊に刺され、感染する例が多い。対策としては蚊に刺されないことが一番で、野外活動時は肌を露出しない服装で、昆虫忌避剤などで蚊対策をしたい。
 また、胃腸の調子が悪くなり、こちらの医療機関を受診すると腸チフスやアメーバ赤痢との診断が下されることがよくあるが、確かにこれらの疾患はインドネシアでよくある病気だが、実際には正しく診断するのが難しく、かつ比較的症状の経過が長いのが特徴のため、別の疾患であることもよくある。
 一般に数日間の下痢などの消化器症状の場合は、むしろ他の感染性胃腸炎の可能性が高い。こういう場合は高熱や血便が続くのではない限り、整腸剤を服用して水分を十分に摂取しておけば特別な治療をしなくとも数日中に回復する。
 1週間以上症状が続く場合は腸チフスやアメーバ赤痢なども考慮すべきだが、腸チフスは持続する発熱が主な症状で、アメーバ赤痢は血便と腹痛が特徴的。また、腸チフスには1回打てば3年ほど効果が持続するワクチンがあり、接種することをお勧めしたい。
 新型コロナウイルスの変異株オミクロン株による流行では、感染したり濃厚接触者になった邦人も非常に多かったが、幸いにも重症化する例はほとんどなかった。これはオミクロン株の性質による部分もあるが、多くの邦人がワクチン接種を少なくとも2回終えていたことが大きかったと思う。
 ただ、社会活動が緩和されつつある中で感染機会が増え、また新たな変異株や亜種が出現することで再び感染拡大が起こる可能性は十分にある。その予防のため、3回目のブースターワクチンの接種はその効果がはっきりしており、接種がまだの方で接種機会を得られたなら、ぜひ早期に接種されることを勧める。
 小児、特に12歳以下の方のワクチン接種については、インドネシアでは接種できるワクチンの種類が限られていて、医学的にも必ずしも強く接種を勧める状況ではないが、長期的には接種が望ましいと考えている。ワクチン接種については、その接種回数により社会活動制限が規定されるなど社会制度的な側面もあるが、少なくとも医学的には、効果あることがはっきりしたワクチンを3回以上打つことが望ましい。
 最後に、大使館の医務官は職務上およびインドネシアの法令の制限により、在留邦人の方々に診断・治療などの直接の医療行為を行うことはできないが、医療に関する相談はいつでも受けることができ、必要があれば当館まで連絡をください。

【医療情報】

♦世界の医療事情・インドネシア・外務省海外安全ホームページ内
 https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/asia/indonesia.html
 
♦新型コロナに関する在インドネシア日本大使館のホームページ 
https://www.id.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html

♦日本大使館のホームページ内にある「よくある御質問(FAQ)」
https://www.id.emb-japan.go.jp/info20_20j_nyukokuFAQ.html

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