転ばぬ先の杖の大切さ 取材先で機材トラブル

 ペンとノート、そしてカメラ。新聞記者が取材先で欠かせない〝三種の神器〟といえば、昭和の時代はこの3つだった。しかし、平成に入ると携帯電話が加わり、カメラはフィルムからデジタルに変わる。便利な時代になったが、使い方を誤ると大失敗をすることも。デジタル機器が可能にする「当たり前」が根底から崩れる。昨年のスマラン取材で経験した失敗を振り返り、今後の糧としたい。

 報道カメラマンが求めるのは、「どんな環境下でも必ず写る機材」。フラッグシップ機2台と超広角から望遠域をカバーする明るいレンズ3本が基本となる。同じ機種でも報道機関に納品される機材は防滴効果を高めるなど、市販品とは異なる若干の加工を施す場合もある。
 これに例えばスポーツ取材なら超望遠レンズや一脚が加わり、事件・事故取材などでは脚立は必携だ。災害取材となればヘリやジェット機からの空撮が必要になるから、旧社の写真報道部には羽田空港の格納庫に常駐する「羽田番」という勤務があった。
 いずれにしても、現場の状況によって持ち出す機材や移動手段は変わる。フィルム時代はこれでよかった。機材に頼れる上限は各社ともほぼ互角。あとは技量とともに知恵と工夫の競い合いとなる。
 ところが、デジタル時代に入ると、機材の善し悪しが写真の優劣を決めることがある。連写速度や暗所耐性はもちろん、パソコンや通信機材の性能も紙面に影響してくる。そのリスクを軽減しようとフル装備としたいところだが、荷物がどんどん重くなる悩ましい問題も起きてくる。
 もっとも、スマラン取材で味わった苦い経験とは、そんな高次元の話ではなく、取材環境を甘く見たという初歩的な失敗だった。
 まずはドローンをめぐる失敗だ。目的地に到着して離陸準備も完了し、さあ撮影と思ったがドローンは離陸指示を無視。微動だにしない。アプリをよく見ると「飛行不能」と表示している。なんと近くに地図アプリには表示されない国軍のヘリポートがあり、その管制空域内だったのだ。
 思い描いた取材ができず、頭は真っ白になったが、ひとまず高倍率の万能レンズで切り抜けた。ところがその夜、暗闇でレンズ交換をした際、手が滑ってレンズが落下。鏡筒が歪んで使い物にならないという最悪の事態に。翌日からインタビュー用に持っていた単焦点の標準レンズ1本で旧市街での取材を続行することになった。
 もちろん、悪い事ばかりではない。ズームに頼らず自分が動けばいい。動いて取材対象に近づけば、生の声を聞く機会も増えてくる。とはいえ、それも取材の山が越えていたから言える話。転ばぬ先の杖。やはり何事にも予備戦力が大切だ。

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 28日(月)はムハンマド昇天祭で祝日となり、休刊とさせていただきます。ご了承ください。(長谷川周人、写真も)

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